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反捕鯨団体HPがハッキング 「自作自演」か「日豪サイバー戦争」なのか

   反捕鯨環境団体「シー・シェパードSea shepherd」のホームページがハッキングされた可能性があることが分かった。ページのトップ画面には、牛が殺され解体される写真が画面に映し出されており、過激な反捕鯨活動を展開する同団体への「皮肉」と「反発」が込められているようだ。誰がハッキング行為を行ったのかは不明だが、「自作自演」説から「英語圏のゲーマー」説まで浮上。一体、何者の仕業なのか?

HPに牛の殺される画像が掲載される

反捕鯨団体の「HPハッキング」が海外で報じられた(indybay.orgより)
反捕鯨団体の「HPハッキング」が海外で報じられた(indybay.orgより)
「HOW ARE YOU GENTLEMEN(ご機嫌いかが、ジェントルマン)」
「ALL YOUR ASS ARE BELONG TO BASE」

   こんなメッセージと共に牛が殺されて解体される画像が、「シー・シェパード」公式HPのトップページに2008年1月18日に掲載されていたことが分かった。

   「シー・シェパード」は、過激な抗議活動で知られる反捕鯨団体で、同団体のボートが2008年1月15日には捕鯨調査船・日本の第二勇新丸に接近して、薬品を投げ込んだほか、船内に活動家2人が侵入して保護された。さらに、水産庁によれば、第二勇新丸が、2人を同団体に引き渡した後の1月18日にも、「シー・シェパード」のゴムボートから、酪酸弾10発が投げ込まれたという。

   捕鯨問題をめぐっては、日本の調査捕鯨活動に対して豪州は強く反発しており、ネット上では07年12月に豪州の反捕鯨を痛烈に批判する動画が動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」にアップされ、3万件以上の英語のコメントによって激しい議論が交わされるという事態にまで発展した。ネット上でも、捕鯨問題をめぐって、日豪間で火花が散っている様相だ。

   こんな「シー・シェパード」のHPに牛の殺される画像が掲載されるのは、いわば反捕鯨活動に対する強烈な「皮肉」と思われ、「日豪サイバーバトル」に便乗した行為である可能性が高そうだ。このHPを見ていたあるエンジニアは「自作自演でなければ、おそらくハッキングだろう」と推定する。

   一方、日本のネット上では、「シー・シェパード」の「血塗られた」HPが話題になり、巨大掲示板2ちゃんねるでは、

「今度は自作自演で被害者面ですか」「自演くさい。おまいら(編注:2ちゃんねるユーザー)にそんなスキルあるわけない」「日本のハカーならもうちょっと凝った事しそうだけどなぁ」

といった具合に、「シー・シェパード」の「自作自演」説が浮上。

米メディアにコメント「日本人の仕業ではないだろう」

   一方で、「ALL YOUR ASS ARE BELONG TO BASE」という文章が、英語圏のネット上で頻繁に使われている「All your base are belong to us」というジャーゴン(隠語)をもじった言葉との見方から、「英語圏のゲーマー」説も根強い。

   「ハッキング行為」を報じた米メディア「インディベイ」の記事のコメント欄には、

「"All your base are belong to us"というジョークは5年前に人気だったから、日本人の仕業ではないだろう。英語圏の人だけが知っている言葉で、日本人は知らないだろう」

という指摘もある。

   ちなみに、「All your base are belong to us」という言葉は、日本のゲームが英語版として輸出された際に、「占領した」達成感を表現する言葉が誤って英訳され、それ以降、英語圏のゲーマーがゲーム中の「勝利の雄叫び」に使う言葉になったという説が主流。いわば日本人の誤訳を「ネタ」にした言葉だ。
   ハッカーが誰だったのかは不明だが、いずれにせよ日本人を示唆する「サイバー攻撃」が、反捕鯨団体に仕掛けられたのは確かなようだ。

   なお、2008年1月21日現在、「シー・シェパード」のHP上では、「ハッキング行為」についての説明はない。