2018年 6月 20日 (水)

「子供が王様」これでいいのか フィンランド式教育に学べ

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   日本の「学力」低下が懸念されるなか、フィンランド式教育が注目されている。OECDが実施した学習到達度調査(PISA)で、日本は順位が低下傾向にある一方、フィンランドは上位を維持していることもあって、ちょっとしたブームになっている。国内でも授業に「フィンランド式」を取り入れる学校が出現したほか、「フィンランド式学習」を謳った書籍も続々と登場している。「フィンランド式」の根幹は何なのか? J-CASTニュースでは、実践型の「フィンランド式学習」としては初の書籍『フィンランドメソッド実践ドリル』を執筆した諸葛正弥氏に聞いた。

――フィンランドメソッドとはそもそも何なんですか。その特徴はどこにありますか。

「ジャパンメソッド」と日本人が聞いて、「そんのものがあるのか」と感じるように、フィンランドの人たちに言わせると、「フィンランドメソッド」というものはないんです。現地の学校で行われている習慣みたいなものだと考えてください。

日本との一番大きな違いは、自分が持っているものを、アウトプットとして表現するというところです。モノを覚えることが評価されるのではなく、自分たちの言葉で「表現する」「スピーチする」「プレゼンする」が多く求められるのです。

みんなに分かってもらうために自分はどういう言葉を使ったらいいか、表現したらいいか考える。つまり、アウトプットの力を磨く。もっと言うと、知識を得るにしても、皆にきちんと伝えようとするためという意識が強い。

向こうの学生はテストの対策には、「本を読め」といわれるんです。自分がプレゼンをするためのソースとして、情報を抽出するために読むんですね。そこで、情報の抽出能力を深めていく、当然、読解力も高くなっていきます。

「覚えたけどそれをどう使うの?」がポイント

「フィンランド式の名前残らなくても、考え方が残って欲しい」と述べる諸葛正弥氏
「フィンランド式の名前残らなくても、考え方が残って欲しい」と述べる諸葛正弥氏

――小学生の頃から「プレゼンする」という訳にはいかないですよね。やっぱり、段階みたいなものを踏む?

小学校ぐらいだと、キーワードを並べて、それを全部使って一番短い作文を作ってみましょうというテーマで作文させるとか。情報を整理させてから自己紹介させるとか。自分は何が話せるかを整理させてからプレゼンする。小学校の頃はそういった下準備をします。そして、だんだんプレゼンができるようにしていくというわけです。

――日本で求められている学力とフィンランドで求められている学力はそもそも違いますよね。求められている学力が違うのに、フィンランド式になぜ関心が集まっているのでしょう。

日本人は外国のものが好きという面はあると思いますが、フィンランドの教育で重視している情報抽出能力、表現する力というのは確かに日本の教育のなかでいままで確立していなかった。それを育てるために、フィンランドメソッドが使えればいいのかなと。 表現しろといわれて、困ってしまう日本人は多い。食べ物が好きな理由を3つ挙げろといった場合、「美味しいから」という。だけど、どういうところが好きなのか正しく伝えられない。相手の立場に立って、踏み込んで行ける人もほとんどいない。「覚えるには覚えたけどそれをどう使うの?」っていうところはあったんじゃないでしょうか?アウトプットさせていく教育はほとんどされていないから。

――『フィンランドメソッド実践ドリル』はどう使えばいいのでしょう?

この実践ドリルをつくったのには目的があって、ターゲットは一般のビジネスマン。だから、問題の難易度は高めです。大人がチャレンジして、表現力とか論理力が足りない「難しいなぁ」ってことを実感していただいて、「大人の自分ができないということは子供たちはどうなんだろう」って発想になってもらいたい。そして、親から子供に伝えるコミュニケーションをそこでつくってもらいたいと思います。だから子ども用のドリルを作っても意味はないだろうと考えていました。
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