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ニコニコ動画「MAD」も削除 「他に何を見るんだ」と不満の声

   動画投稿サイト「ニコニコ動画」で、元のコンテンツを編集し、再構成した「MAD動画」も削除される方針が明らかになり、ユーザーから不満の声が上がっている。一方で、「一律削除では何も生み出さない」として「MAD動画」も含めてコンテンツの投稿を認め、広告ビジネスを展開しようとする動きも出てきている。

「ニコニコ」では「MAD動画」が人気だ

ニコニコ動画では「MAD削除」に不満を示す動画も
ニコニコ動画では「MAD削除」に不満を示す動画も
「MADのないニコニコなんてルーの入ってないカレーだな」
「もうニコニコの生命線はここらで切れるのかねえ・・・」
「で、ニコニコで何を見れと?」

   ドワンゴは2008年7月2日、日本動画協会、日本映像ソフト協会、日本映画制作連盟からの要請で、「ニコニコ動画」で3団体の著作権を侵害している動画を削除すると発表した。その中には、「MAD動画」も対象になっている。「ニコニコ動画」の場合、アニメや映画の映像や音声を組み合わせたりして再編集した「MAD動画」が人気を集めており、ユーザーから同サイト内でこんな不満の声が相次いでいるのだ。

   同社は、3団体の要請に応じて「MAD動画」を削除するということで、「MADがすべてダメという訳ではない」(広報担当者)としている。今回「MAD動画」が削除対象であることを明示したのは、アニメなどの著作権を有する団体からの要請を受けたため。「MAD動画」については、目視による監視体制を強化していく方針だ。

   一方で、「MAD動画」をうまく使って、ビジネス展開をしようとする取り組みも出ている。 米グーグル傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」を利用した広告事業を展開しようとしているのは角川グループホールディングス。同社は2008年6月10日から「ユーチューブ」と連携して「夏の動画投稿ドリームキャンペーン」を展開した。現在はオリジナル動画の投稿のみを受け付けているが、自社アニメ動画の投稿を促す取り組みを始める予定だ。

   この取り組みは、角川のアニメのプローモーションの一環で、投稿が許可されるのは、DVD版発売前のアニメに限られ、投稿できるアニメ映像の時間にも制限がある。ただし、悪意のある動画などを除き、MAD動画の投稿は受け付ける方針だ。

「一律削除では何も生み出さない」

   角川は2007年からグーグルの画像認証プログラムの開発に参加してきたが、これを利用して自社アニメ作品の投稿を角川が許可。その動画に広告をつけることで、角川やアニメの権利者、動画の投稿者、グーグルで広告費をシェアするというビジネス展開を目指している。

   同社広報担当者は「何でもかんでもOKというわけではない」としており、MAD動画についても「アニメファンとして紹介してくれる」ことを前提としている。同社が開発に携わってきた画像認証プログラムで、「MAD動画」がプロモーションに適したものかを判断していく。

「一律削除の流れがあるが、それでは何も生み出さない。そうではなくて、認められるべきものを認めて行けば、広告などのビジネスが広がり、権利者の利益にもなる。ひいては、動画を投稿されている方にも利益が還元できる可能性があると考えている」

   一方のドワンゴの広報担当者は、J-CASTニュースに対して、

「MADが文化として広がってきているので、ユーザーさんの意見を取り入れながら、権利者さんと話し合って残していければとは思っている」

と含みを持たせた発言をしており、角川のようなビジネス展開についても「相手さま(コンテンツホルダー)の意志があってのことだが、可能性としてないわけではない」としている。