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携帯電話の番号で振込できる 「じぶん銀行」の「先進性」

   携帯電話を利用した新たなインターネット専業銀行として、三菱東京UFJ銀行とKDDIが50%ずつ出資した「じぶん銀行」が2008年7月17日にサービスを開始した。ネット専業銀行としては国内で5行目だが、KDDIの携帯電話「au」同士なら、携帯電話の番号を口座番号の代わりに用いて振り込みができるなど、携帯端末に「銀行」の機能を取り込んだのが特徴だ。大手新聞やテレビなどマスコミの取り上げ方は必ずしも大きくなかったが、じぶん銀行は「通信と金融の融合」を実現したことで、日本のケータイ文化の可能性をさらに広げる新たな金融サービスとして注目される。

口座開設に印鑑やサインの登録は不要

「通信と金融の融合」を実現した「じぶん銀行」に注目が集まる
「通信と金融の融合」を実現した「じぶん銀行」に注目が集まる

   じぶん銀行は、そのネーミングが示す通り、「携帯電話の特性を最大限活用し、『お客さま一人ひとりの銀行』として、利便性と安全性を両立させた」のが特徴だ。auだけでなく、NTTドコモやソフトバンクモバイルの端末でも、じぶん銀行は利用できる。

   口座開設に印鑑やサインの登録は不要。携帯電話やパソコンなどネットを使って開設できる。通帳は携帯端末の画面で、普通預金、定期預金ができるほか、auの携帯電話の番号や銀行の口座番号に振り込みができる。現金の引き出しや入金は、三菱東京UFJ銀行のほか、提携先のセブン銀行、ゆうちょ銀行のATMを利用できるのが強みだ。

   携帯電話ならではのサービスとしては、携帯番号振込が最も先駆的だ。例えばサラリーマン同士が割り勘で飲食し、現金の持ち合わせがなくて同僚にカネを借りた場合、じぶん銀行同士であれば、飲食代を立て替えてくれた同僚のケータイ電話番号にお礼のメールとともに代金を振り込むことができる。当面、これはau端末同士に限られるが、将来的にはケータイ同士でメールのやり取りと同様に送金する光景が一般的になるかもしれない。

ケータイ依存度の高い若者を狙う

   このほか、ケータイらしい金融サービスとしては、電子マネー「Edy」のチャージのほか、au専用サイトのショッピング、オークションの決済もできる。じぶん銀行は決済を利用できるネットショップを拡大するほか、今後は外貨預金、カードローン、保険販売などのサービスも追加していくという。

   三菱東京UFJ銀行とKDDIは全国の本支店やショップで、じぶん銀行のPRを展開。テレビCMも流し、ケータイ依存度の高い若者を中心に顧客獲得に懸命だ。目標は開業後3期目の2010年度に240万口座、預金量1兆円程度で、3期目の単年度損益の黒字化、5期目(12年度)の累積損失解消を目指すという。