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貸し渋り・貸しはがし 銀行の「貸さない」口実

   銀行などの「貸し渋り」「貸しはがし」が増えている。サブプライム問題や原油高騰、物価上昇による消費意欲の減退と、景気の後退が鮮明になってきたのが背景にはある。2008年第2四半期(4~6月)に、金融庁に寄せられた関連の苦情は44件。そのうちの半数以上が「新規融資を拒否された」というが、銀行はいったいどんな口実を使って断わっているのだろうか。

「貸せないのは信用保証協会のせい」と責任転嫁

   金融庁が2008年7月31日に発表した「貸し渋り・貸しはがし」に関する情報の受付状況によると、第2四半期に寄せられた情報は44件で、05年第4四半期(10~12月)の48件に次いで多かった。このうち、メガバンクや新生銀行、あおぞら銀行などの主要行への苦情が20件。地方銀行が13件、信用金庫・信用組合が9件、その他行政などへの苦情が6件あった。

   銀行が融資を拒否した場合を見ると、「新規融資を拒否された」が23件と最も多く、「返済を要求された」が7件、「担保の売却を求められた」3件、「追加担保を要求された」と「融資契約の更改を拒否された」が2件ずつあった。

   寄せられた情報(第1四半期分)をもとに金融庁は、実態調査を実施。15の金融機関に監督局がヒアリングを行い、検査局も2つの金融機関の立ち入り検査で、貸出先への説明がどのように行われたのかを検証した。

   ひと言で「新規融資を拒否された」というが、具体的にはどのような理由をつけたのだろう。最近増えているのが、信用保証協会の保証がつかないことを理由に断わるケースだ。

   銀行はこれまで、銀行からの直接貸し出し(プロパー融資)ができない、経営状態がよくない企業に対して、信用保証協会付き融資(マル保融資)を勧めてきた。プロパー融資が通らなくてもマル保融資であれば貸し出すことができたのだ。しかし、これまで信用保証協会が100%保証してきたマル保融資の保証割合が、協会80%、銀行20%に変更されたことで、審査が厳しくなった。

   たとえば業績が悪化した、プロパー融資先が追加融資を求めてきたと仮定する。このとき銀行は企業の財務内容から、信用保証協会の保証が受けられそうもないのをわかっていながら、信用保証協会の融資審査を受けさせる。結果、審査は通らない。「マル保を受けられないのだから、プロパー融資はできない」といって、信用保証協会のせいにして断わるわけだ。

銀行の返答、あいまいなことが多い

   審査基準の変更を理由にするケースも少なくない。たとえば、土地の担保評価。地価の動向などで、融資した時点の担保価値と、現時点の担保価値とはちがうことがある。なかには土地計画が進まないとして、銀行側の都合で、その土地の担保評価を変更するケースがある。

   企業は融資を申し込むまで変更のことはわからないし、理由をきいても、銀行は「(追加融資の場合でも)新規融資扱いになるので、新しい基準にそって審査した結果です」とか、「基準に則って審査している」とだけ、簡単に答えるケースが多い。

   「利用者が納得できる説明がないことが多いようです」(金融庁)という。