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若者のビール離れが進む? 販売計画も下方修正

   ビールの売れ行きがさえない。アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリーのビール大手4社は2008年8月5日までに中間決算(08年1-6月期)を発表、サントリーを除く3社が前年実績を下回る販売計画に修正した。不振の原因のひとつには、若者のビール離れの進行があるともいわれる。

サントリー以外は販売計画を下方修正

ビール不振の一因は若者のビール離れなのか?
ビール不振の一因は若者のビール離れなのか?

   ビール酒造組合によると、08年1-6月期のビール出荷量(課税移出数量、発泡酒や第3のビールを除く)は1442万キロリットルで、2000年1-6月期と比べると45%減少している。ビールの出荷量は05年1-6月期に1576万キロリットルまで減少、翌06年1-6月期には1927万キロリットルに一たん持ち直したものの、再び減少している。ただ、発泡酒の出荷量(課税移出数量)が1-6月期に68万キロリットル、いわゆる第3のビールが62万キロリットルあるので、全体の減少幅はもう少し狭まる。

   08年1-6月期は、原材料価格の高騰などで、2月のキリンを皮切りに3社が順次値上げした。値上げによる客離れが考えられるなかで、ビール酒造組合では「天候による影響も小さくない」と話している。ビールの出荷量は例年5~6月から伸びていくのだが、今年は5~6月にかけて天候に恵まれなかった。ただ、その分7~8月は連日の猛暑で、キリンビールは「7月単月では対前年比2ケタのプラスです」と、ひと息ついたようすだ。

   ビール大手4社が明らかにした08年の修正販売計画は、アサヒビールが年初の前年実績比で2%減のところを3%減の1億8200万ケース(1ケース大瓶20本換算)に引き下げた。年初に微減の計画だったキリンビールも3%減の1億8170万ケースに下方修正。サッポロビールの計画も当初の2%減から6%減の5800万ケースに下げた。

   一方、この上期にビール類出荷量(発泡酒、第3のビールを含む)とシェアでサッポロビールを抜いて業界第3位に躍り出たサントリーは、3社が値上げに踏み切るなかで、缶入り製品の価格を8月末まで据え置いたこともあって、当初の計画どおり2%増を見込んでいる。

   キリンビールは売上げが伸びないことについて、「値上げだけではなく、市場環境の影響などを複合的な要因があると思われます。それらを加味して年間3~4%程度の減少になると予想しています」と説明する。

   「ビール離れ」には、価格の安い発泡酒や第3のビールにお客が流れていることが指摘されているが、最近では若者がビールを飲まなくなったともいわれている。

   キリン食生活文化研究所が4月にまとめた「新社会人の飲酒意識と仕事観」に関する意識調査によると、社会人1年生に「ふだんよく飲むお酒は?」と聞いたところ、自宅で飲むお酒のトップはチューハイ、飲食店ではカクテルだった。ビールは自宅で第2位、飲食店では第3位だった。

健康志向でビールをたくさん飲んできた人が量を減らした?

   ちなみに、この調査がはじまった05年は、ふだん自宅で飲みたいお酒のトップにはチューハイ、飲食店のトップはビールだった。

   また日常生活の中で、「飲むこと」以外の楽しみ方が増えてきたのが、お酒離れ、ビール離れにつながっているとの指摘がある。これまでお酒にかけていたお金を、いまの若者は携帯電話やインターネット関連などの支出に充てるようになったというのだ。

   ビール酒造組合は、「なにも若者がビールを飲まなくなったばかりが(減った)原因ではない」という。むしろ高齢化によって、これまでビールをたくさん飲んできた人が飲む量を減らしていることのほうが、影響が大きいとみている。メタボ健診などもあって、健康管理にうるさくなり、飲酒の量が減ったことがビールの売上げに響いているというのだ。

   すでに第3のビールのジャンルではカロリーオフの商品が投入されている。ビール各社は、さまざまな機会やトレンドをつかんで、「需要を掘り起こしていく必要がある」(キリンビール)。