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コインパーキングが値下げ 燃料高騰が「強気」に待ったか

   ガソリン価格の高騰でマイカーの利用度が減り始めたコインパーキングでは値下げに踏み切るところが出ている。道路交通法の改正で路上駐車の取締りが厳しくなった2年前には、一斉に料金を値上げして強気の商売を続けてきたが、最近の燃料高騰が「強気」に待ったをかけたようだ。

都公社、3か月で2万台の減少

最近、「空車」の表示をよく見かけるようになった
最近、「空車」の表示をよく見かけるようになった
「都内では駐車場の価格変動が激しさを増している。路上駐車の取締りが強化された2006年6月頃から需要が急増し、民間の駐車場では一斉に値上げして強気の商売をしていたのが、最近では一転して下げる傾向にある」

と明かすのは、東京都道路整備保全公社管理課の担当者だ。

   同公社では、都内で100カ所のコインパーキングを運営している。稼働率の低下が深刻で、08年4~6月には前年同期に比べて2万台も減り、利用時間も短くなっている。今のところは値下げしていないが、1日の最大利用料金を下げる方向で検討を進めている、という。 一方、コインパーキングを運営する大手2社では、既に値下げしている。全国に7600カ所を運営する業界最大手のパーク24(東京都千代田区)では、08年6月以降に100カ所以上の駐車場で「15分100円」から「20分100円」にした。広報担当者は「適正価格に改定したもので、今回が特別なことではない」と話している。

   また、首都圏を中心に529カ所を運営する日本パーキング(東京都千代田区)でも、例えば「10分100円」から「15分100円」にするというように価格は据え置いて利用時間を広げたり、1日の最大料金を下げたりした。特に稼働率が低くなっている郊外で、下げる傾向にあるようだ。

   日本パーキングの広報担当者は、

「料金がよく変動するのは、駐車場業界全体で言えることだ。ほとんどが値段は据え置いて時間を変動させるといった、利用者に大きな影響を与えない範囲でやっている」

と話している。

   さらに、「駐車スペース数と保有車両数を比べると、駐車場は圧倒的に不足しているため、ニーズはまだあると考えている。今後はガソリン価格が落ち着いてくると見られており、駐車場の利用者が増えるのではないか」と続けた。一時的に値下げはしても、強気の姿勢は変わらないようだ。

知恵を絞り、回数券が1.5倍増に

   駐車場の稼働率を上げようと、あの手この手のサービスを行うところも出てきている。日本駐車場開発(大阪市)は08年8月から、約90カ所のコインパーキングで、提携するトヨタファイナンスのクレジットカード「TS CUBIC CARD」を見せると、最初の1時間分が無料になるサービスを始めた。9月30日まで行う。同社では7月にも、1日駐車券が10枚つづりになった回数券を購入すると、1日分が無料でついてくるキャンペーンを行った。実施期間は7月11日から31日までという短期間だったが、広報担当者によると「前月同期と比べて冊数ベースでの販売数は1.5倍に伸びた」と話している。

   同社の駐車場はすべてがビルや建物の中にあるという特殊な立地から、利用者の多くがリピーターだ。ガソリン高騰でマイカーの利用者が減り、一部の駐車場で稼働率が低下したために実施したというが、好評だったようだ。