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茨城県議会「反省の色なし」 またまた「居眠り議員」続出

   茨城県議会が「議場のセキュリティ確保」を理由に傍聴規則を改正し、ブロガーなど一般人の写真やビデオの撮影ができなくなった問題で、2008年9月9日、県議会側は急きょ「ブロガーも撮影許可を受けられる」と主張を一転させた。県議会での県議の「居眠り写真」がブログで公開され、それをきっかけに県民からの批判が高まったことが背景にあると見られる。

「議長がOKということなので、撮影は可能」

茨城県議会の傍聴規則改正めぐり騒動に(茨城県議会HP)
茨城県議会の傍聴規則改正めぐり騒動に(茨城県議会HP)

   茨城県議会の議会運営委員会で2008年9月3日、「議場のセキュリティを確保する」名目で傍聴規則が改正、08年9月8日に施行された。当初の県議会事務局の説明では、申告すれば誰でも受けられた写真撮影やビデオ撮影の許可を、報道関係者や議員会派関係者、広報関係者、公共団体の関係者など「公益的見地から必要と認められる者」に限定するというもの。ブロガーなどは、「広報(活動)に資する」と認められないため、原則撮影「不可」となると説明していた。しかし、08年9月9日になって、県議会事務局はJ-CASTニュースに対して「(県議会)議長がOKということなので、撮影は可能」と当初の説明を覆した。

   茨城県議会をめぐっては、2010年3月開港の茨城空港をテーマにしたブログが、自民党の藤島正孝議員の「居眠り写真」を2008年6月に公開した。「睡魔と闘おうともせず、開会宣言と同時に眠り始め、閉会宣言と共に起きた」などとして、「なんという無責任ジジイなのか」との批判を展開。この時期に合わせるようにして、ブログの写真掲載について「議会運営上、見過ごすことができない」などとして、桜井富夫議長が決裁して議院運営委員会に報告、9月8日に改正された傍聴規則が施行されることになった。一部のメディアでは、「居眠り写真を掲載されたことにたいする逆ギレ」などと報じられた。

   「ブロガーの撮影がNG」とされていた主張を議会側が一転させたことについて、県議会事務局は、

「それは・・・議長が最初から(ブロガーの撮影を)OKとしていたので・・歯切れが悪くなっちゃうんですが・・・」

と自身も認める「歯切れの悪い」弁明が繰り返されたが、事務局と議長のあいだで「誤解があった」と説明。「批判を受けて(主張が)変わったわけではない」と述べている。

議会では、「騒動」をよそに居眠りする議員が続出

   ただ、改正した傍聴規則に「公益的見地から必要と認められる」「議会広報に資する」などの文言が撮影者の許可条件として付け加えられているのは疑問が残るところ。また、桜井議長もJ-CASTニュースに対し、個人ブロガーの批判についてある程度の制限が必要だとの見方を示しており、主張を一転させた、と見られてもおかしくない。

   一方で、今回の傍聴規則の改正をめぐっては、県議会の「居眠り議員」が大きくクローズアップされる結果となった。「居眠り写真」を掲載された藤島議員は2008年9月8日に眠り止めを持参して議場に現れ、TBS系番組の取材に「深く反省しています」「アレ(眠り止め)を見本にしてですね、反省の意味をこめて、それを注意して眠らないようにしました」と答えている。しかし、この日の議会では、「騒動」をよそに居眠りする議員が続出。テレビ朝日系番組の集計では最大で10人の議員が同時に居眠りしていたという。

   県議会事務局には、県議の「居眠り」に対する批判が相次いで寄せられており、「メールで数十件、電話で20件程度」の抗議などの問い合わせが2008年9月9日までに寄せられているという。事務局は「議員さんに自覚を促す」などと言って対応に追われているが、

「議長もおっしゃっていることだが、結局は選挙民の方が(居眠り姿を見て)選挙でどういう判断をなさるかということになる」(事務局担当者)

と話している。