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こんにゃくゼリーメーカーに激励の声殺到 ネットでは販売中止反対の署名活動

   「こんにゃくゼリー」で高齢者や乳幼児の窒息死亡事故が相次いでいる問題で、最大手の製造メーカーは、大部分の製造を一時中止することになった。ところが、その直後から「こんにゃくゼリーだけが悪者になるのはおかしい」といった声が相次ぎ、ネットでも販売中止に反対する署名活動が行われ、メーカーにも「普通では考えられない数」の激励の声が寄せられているというのだ。

ネットの反対署名1万1000を突破

   1歳10ヶ月の男児が2008年7月、凍らせた一口タイプのこんにゃくゼリーを飲み込んで窒息、08年9月に死亡した事故を受けて、野田聖子消費者行政担当相が08年10月2日、こんにゃくゼリーメーカー最大手「マンナンライフ」の鶴田征男会長らを内閣府に呼び、再発防止策の提示などを求めた。その席で野田氏は「(従来の)小さな警告マークのみの商品は自主回収し、一から出直すことも考えては」などと促した。

   一方のマンナンライフは、「行政の要望に対し、時間的に早急な対応が困難」などとして、事故があった「ミニカップタイプ」の製造を、10月8日から当面の間、中止することになった。

   ところが、これと時期を同じくするように、「もちや米も窒息のリスクがある」という指摘も出て、「こんにゃくゼリーの『狙い撃ち』はおかしい」といった「こんにゃくゼリー擁護論」が広がりを見せているようなのだ。

   例えば、J-CASTニュースが掲載した「『こんにゃくゼリー』法規制混迷 『もち』『米』も危険という声も」という記事にも、多くの「擁護コメント」が寄せられているほか、ネット上で署名活動を行うサイト「署名TV」では、10月3日から、こんにゃくゼリー販売中止への反対を呼びかける署名活動が始まっている。当初の目標が1000だったのに対して、10月17日午後には、1万1000を突破している。

   署名には、

「時々しか食べませんが、無性に食べたくなる時があります。その時食べられないのは、辛い」
「今回は確実に消費者側に落ち度があったと思います」

などといったコメントが数多く添えられている。署名は11月3日まで受け付けており、相当な数の署名が集まるものとみられる。

「98%は激励の声」

   「擁護論」は、ネット上にとどまらない。マンナンライフの品質保証室によると、事故以降、電話・メール・葉書などで、同社を激励する声が相次いでいるのだという。同社では、

「具体的な数については控えさせていただきたいのですが、通常では考えられない数です。非常にびっくりしています。とても励まされています」

と話す。そうは言っても、事故で死者が出ているだけに、批判の数も相当数にのぼるのではと想像されるが、実際のところは「批判の声は全体の2%で、残り98%は激励の声」という、異例の事態を迎えている。

   なお、今回の事故の原因となったこんにゃくゼリーは、同社が82年に発売。94年に「蒟蒻(こんにゃく)畑」のテレビCMで人気に火が付き、「こんにゃくゼリー」の名前が全国的に広まったが、製造方法は「こんにゃくの中にフルーツ果汁を混ぜる」というもので、元々の呼び名は「フルーツこんにゃく」。同社に取材する限りでは、「こんにゃくゼリー」は、「ゼリー」というよりも「こんにゃくそのもの」と言った方が正確だ。

   同社では、生産の再開について、

「表示も、容器も、中身も検討し直す必要があって、生産再開については、なんとも申し上げられない状況です」

と話しており、見通しが立たない状況だ。

   同社が本社を置く群馬県は、こんにゃくの原料である、こんにゃくいもの生産日本一で知られ、04年度の統計では全国の生産量の82.1%を占めている(日本こんにゃく協会調べ)。