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「売れる」マンションの条件 「都心が人気」ではない新事情  

   マンションの販売不振が著しい。新築マンションに売れ残りが目立ちはじめたうえに、相次ぐ建設・不動産業者の倒産が追い討ちをかけて、もう値崩れ寸前だ。そんな中でも、即日完売するなど「売れる」マンションがあるという。いったい、どんなマンションなのか。

最近のマンション選びのポイントは「暮らしやすさ」

   不動産経済研究所によると、リーマン・ショックで株価が暴落した2008年9月に、即日完売した物件は9物件122戸あった。その中のひとつ、40戸を完売した「グランスイート玉川上水」は東京都東大和市にある。新宿まで約34分、西武拝島線・多摩モノレールの玉川上水駅が最寄り。駅まで8分で、周囲には商店も建ち並ぶ。イトーヨーカ堂に4分、ダイエーも5分にあって買い物にも便利。目の前に公園もある。

   平均価格の3904万円は周辺マンションに比べると「割安感」があり、そこでお客を引きつけたこともある。川崎市幸区のマンション、65戸も完売した。

   不動産経済研究所は「物件の場所と価格を比べて割安だと判断すれば、売れる傾向にあります」という。しかし、それだけではないようだ。

   最近のマンション選びのポイントは「暮らしやすさ」にある。人気物件の「条件」には、職場、学校や病院に近く、買い物に便利、公園が近いなどもある。こうした「条件」は昔もいまもあまり変わらないが、景気低迷でより重視されているようだ。

湾岸エリアの超高層のマンションも苦戦?

   一方、新築ラッシュが続いた湾岸エリアの超高層のマンション。都心に近く、「売れる」条件を満たしているかというと、必ずしもそうでもないらしい。周囲に特売のスーパーもなく、物価も安くない。銀座などの繁華街に出やすいことはあるが、生活するには適さないというわけだ。

   さらに、超高層マンションも10年すぎると大規模修繕の問題が浮上する。「住人が多く意見がまとまりにくいので、将来を考えると超高層マンションや、都心部でも中古マンションは敬遠されぎみ」(不動産経済研究所)という。

   不動産調査の東京カンテイは、「都心に近く、最寄り駅に近い物件ほど値崩れしにくいとは言えます。しかし、最近はどのエリアが売れているとかは言いづらい」と話す。

   それでも人気エリアを推測すると、新築マンションではJR中央線「三鷹」や東急大井町線「等々力」、東急田園都市線「二子玉川」。中古マンションでは原宿や神谷町、御茶ノ水など都心の一等地のほか、JR京浜東北線「浦和」や京王線「百草園」、西武新宿線「花小金井」など、交通の利便性の良さと物価が安く、かつ居住環境の良い成熟した、歴史ある住宅地が人気のようだ。