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駒澤大が金融先物取引に失敗 110億円の損失を出す?

   駒澤大学が金融先物取引に失敗し110億円の損失を出した。そんな情報がインターネット上に流れている。この損失を埋めるために銀行から大学の土地・建物を担保に借り入れをしたのだというのだ。駒澤大学は「この件には一切答えられない」としている。資産運用による財務基盤強化を進めている私立大学はかなりの数にのぼり、金融商品による損失が膨らんでいるところもある、と噂されている。

損失は大学の土地・建物を担保に借金?

   駒澤大学の金融先物取引の失敗を明かしたのは、千葉県にある迎福寺の住職・千代川宗圓さん。自身の「曹洞宗にもの申す」というブログで2008年11月10日付けから詳しい情報を流している。

   10日には「駒澤大学が投資に失敗して莫大な損失」「金融先物取引で80~120億円を失う」。翌日付けには、「今日(11月11日)午前中、駒澤大学で部長会が開かれ、その席上、金融先物取引の失敗により、『負債は110億円』と正式な報告があった」とし、既に08年10月末に大学の土地・建物を担保に、みずほ銀行から110億円を借金。金融先物取引の損失を穴埋めした、と書いている。

   08年11月12日付けでは、08年9月の時点ですでに今回の資金運用が失敗することがわかり、大学の常任理事と経理部長が定年を前に、辞表を提出していた、とも明かしている。千代川住職は、宗門の関係者と駒沢大学の関係者から08年11月9日に情報を得て、その後大学の理事、職員などにもあたったのだという。

   千代川住職はJ-CASTニュースの取材に対し、

「損失を出したのは外為の先物スワップで、ユーロとドル建てで運用していた」

と指摘する。これからも知り得たことはブログに全て書いていくのだそうだ。

   J-CASTニュースは駒澤大学に対し、(1)110億円の損失を出した事実はあるか(2)先物取引を行った経緯は(3)大学の土地・建物を担保にみずほ銀行から110億円の融資を受けたのは事実か(4)経理部長と事務局長が辞表を提出したのは事実か。もし事実なら両者に退職金は支払われるのか、という内容の質問書を出した。

「安全確実なもので運用を」と文科省

   しかし大学側からは、

「標記の件については、お答えいたしかねます」

という回答が送られてきただけだった。

   「金融ビジネス」(東洋経済新報社:08年秋)によると、私立大学の資産運用は銀行預金中心から債券、仕組み債(債券とデリバティブをセットにした商品)などの運用へとシフトしてきた。少子化による学生の数減少で起こる経営難を資産運用で乗り越えようとしているわけだ。しかし、同誌に書かれている大学の資産運用の実態は、

「(資産運用の担当者は)せいぜい1人か2人いる程度で、組織としての運用になっていない。特に仕組債は、中身を本当に把握して買っているか疑問だ」(高須賀伸成21世紀大学経営協会事務局長)

なのだそうだ。

   リスクのある金融商品に手を出した大学の中には失敗して、大打撃を受けたところもあるようだ。それでも高リターンの魅力には勝てず、危ない資産運用を続けている私立大学もあるという。リスクコントロールが難しく、失敗すれば「倒産」になりかねない。文部科学省はJ-CASTニュースの取材に対し、

「安全確実なもので適切に運用するように大学に対して言っている」

と話している。