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1000万、2000万円値引き 首都圏マンション大暴落始まる

   首都圏のマンション価格に、大暴落の兆しが出ている。背景には、在庫を抱えている中小の建設・不動産業者の資金繰りが逼迫、持ちこたえられなくなったことがあるようだ。それに、消費者がまだ下がると見て、様子見しているのが追い討ちをかけている。マンション販売の現場ではハデな値引き合戦が起こっていて、「売り出し価格は、まったくあてにならなくなっている」(地場の不動産業者)。実際の引渡し価格から1000万、2000万円値引きしたマンションもあるという。

折込チラシに「クルマのローンよりも安いアウトレットセール」

   不動産経済研究所が2008年11月13日に発表した10月の首都圏マンションの市場動向によると、新築マンションの販売戸数は4240戸。前年同月に比べて26.0%供給が減ったが、1戸あたりの平均価格は4848万円(売り出し価格ベース)と、前年同月比で3.3%アップしていた。

   同研究所は、「埼玉県や千葉県の物件が不調のなかで、価格帯の高い東京都区部や神奈川県の物件が売れたことが平均価格を押し上げただけ。価格をみると、都区部を中心に下落傾向にあります」と説明する。

   世界的な金融危機の影響でマンション市況も悪化の一途。そのなかで、政府が示した経済対策に住宅ローン控除が盛られる予定なことから、「買い手が手控え始めている」。売り急ぐ業者は価格を下げるしかなくなっている。

   値下がり物件は、中古だけでなく、新築後1年を経過した「新古」物件にも広がっている。東京まで約1時間半、埼玉県内のある新築マンションは2LDKで998万円。最初の売り出し価格は2200万円だった。折込チラシには、「新価格のマンション アウトレットセール」の文字に、月々支払う住宅ローンが「クルマより安い」と謳っている。

   まもなく竣工後1年を迎え、「1年をすぎると販売価格が大きく下げざるを得なくなるので、その前に売ってしまいたいんでしょう」(ネット系の不動産業者)とみている。

「販売価格はあってないようなもの」

   高級住宅街で知られる世田谷区成城の築15年・3LDKのマンションは3000万円台を割った。築5年、売り出し当時は「億ション」だった物件も、郵便ポストへの投げ込みチラシには9800万円に下がった。周辺にはまだ新築工事中のマンションや予定地があり、「中古マンションの空きを減らしたいんです」(大手不動産販売の担当者)という。

   中古物件の販売を手がける地元の不動産会社は、「駅から徒歩10分をすぎると、それだけで500万円違ってきます。実際に、物件を見に来てくれるお客さんには(値下げ価格を)提示します。買ってもらえれば、資金的にも助かりますから」と、厳しい事情を明かす。 前出の大手不動産販売の担当者も「販売価格など、あってないようなもの」と、とにかく売るのに懸命だ。

   大幅値下げのウラには、「外資系企業をはじめとした企業の借り上げ社宅の減少もある」(外資系証券の幹部)と指摘する。成城界隈の高級マンションや、中央区などの都心に近い超高層マンションなどに影響が出ているという。

   それを裏づけるように、「リーマンの破たん以後、(契約解除が)増えてきました。おそらく住んでいた社員は退社したのでしょう。すでに空室になっています」(前出のネット系不動産業者)との証言もある。空室が目立ちはじめて、それがまた「値下げ」を呼んでいる。