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核攻撃「やられれば、やる」 田母神氏持論を改めて主張

   政府見解と反する内容の論文を発表したとして更迭された田母神俊雄・前航空幕僚長が2008年12月1日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。「1945年に司令官だったらどうするか」という問いには「(米国に原爆投下を)やられたら、やる」と述べたほか、「核武装は議論すべきだ」「自衛隊についての意見が割れる憲法は直すべきだ」などと、改めて持論を展開した。

「どこの国でも、歴史教育は『光』の部分に焦点を当てて教える」

田母神氏はあらためて持論を展開した
田母神氏はあらためて持論を展開した

   冒頭、田母神氏は

「前航空幕僚長の、危険人物の田母神です。5分も話してもらうと、私がどれだけ穏やかな人か分かる」

と切り出し、会場を沸かせた。さらに、

「顔が少しゆがんでいるが、決して心がゆがんでいるわけではない。これは国家機密だが、4年前に頭の耳後ろ側に2センチ大の腫瘍があるということで、7時間半ほどの手術をした。その結果として、顔が全部ゆがんだ」

と、04年に腫瘍の手術を受けていたことを明らかにした。

   論文で発表して問題化した自らの歴史認識については、

「先方から言われる(批判される)のであれば、『本当はこうだ』と、意見として申し上げている」
「自衛隊が戦える体制をとることで、戦争を抑止することができる。ところが、『体制をとると戦争になる』と言われてしまう。これは自虐史観に基づいているのでは」
「きちんとお互いに本音をぶつけて話すことが重要。日本では『察し』の世界というか『今にわかる』というところがあるが、これでは外国人には通用しない。日本人は討論のストレスに耐えられない。だが、きちんと話し合いをすることが(事態改善への)近道」

などと持論を展開。さらに、

「イラクに派遣されて他国が攻撃を受けても、助けることができない」

などと、集団的自衛権の行使を認めるように改めて主張した。

   一方、今回の「論文騒動」については、

「論文に書いたようなことは5~6年前からずっと言ってきたし、インターネットにも載っている。これだけの大騒ぎになるとは夢にも思わなかった。どこの国でも、歴史教育は『光』の部分に焦点を当てて教えるもの。ところが、『自分の国はいい国だ』と言ったら、政府から『何を馬鹿なことを言っているんだ』と、クビになった。こんな馬鹿なことがあっていいのか、と内心では思っている」

と、政府や、政府の任命責任を追及した野党への不満をぶちまけた。

「非核3原則」に否定的、改憲も主張

   さらに、核問題や憲法改正についても言及。記者から

「1945年当時の司令官だったとして、米国に対して原子爆弾を使う能力があった場合、どうするか」

と聞かれると、

「それは、その状況になってみなければ分かりませんが、まぁ、『やられれば、やる』のではないかと思います」

と、核使用を肯定するともとれる発言をしたほか、日本が核攻撃を受けた際の対応については

「ほんのちょっとしか準備できてませんね」

とした上で、日本の核武装について

「私は議論されていいと思う。議論するだけで、核抑止力は高まると思う」
「核を、はじめから『持ちません』と言ってしまえば、核抑止力は低下する。持つ意思を示しただけで、核抑止力は向上する」

とも延べ、いわゆる「非核3原則」に否定的な見解を示した。

   憲法9条についても、

「憲法9条では、自衛隊を持つか持たないかで国民の意見が割れている。国を守ることについて意見が割れるような憲法は直したほうがいい」

と、改憲を主張。

   田母神氏は、自説が世論から大きな支持を受けているととらえているようで、

「官僚や政治家のなかに支持者はいるのか」

という質問に対しては、

「表向きには支持していないし、できないと思うが、実際には支持している人の方が多いのではないか。テレビ朝日の『朝まで生テレビ』(の調査)でも、私が61%も支持されていたのにはびっくりした。国民の皆さんは、自分のことを軍国主義者と受け止めるのではなく、冷静に判断しているのでは」

と自信をみせ、今後の活動予定についても

「講演やエッセイの要請が沢山あって、対応するのに手一杯。(将来について考える)暇がない」

と明かした。