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投資不振の中で、FXの株式版「CFD」に注目

   「CFD」(差金決済取引)が注目を集めている。2008年12月に取り扱いを始めたインターネット証券のオリックス証券は、1か月足らずで1000口座を獲得、人気の高さに驚いている。また、SBI証券も08年11月に参入を発表しており、取り扱い証券会社が広がる兆しもある。株価や米ドルが急落するなかで、投資を控える個人投資家も少なくなく、「CFD」の投入で投資を呼び起こす狙いがある。

「損するとFXの比ではない」

   CFD(差金決済取引)は、株式や株価指数、商品(コモディティ)といった資産の「値動き」を反映する店頭デリバティブ取引。証券取引所などの市場を介さずに、また現物を保有することなく「差金決済」という方式で取引する。

   日本ではまだ認知度が低いが、外国為替証拠金取引(FX)と同じように、預け入れたお金(証拠金)を使った取引で、いわば「FXの株式版」。逆にFXはCFDの一種というわけだ。

   FX同様、レバレッジを利かせた取引が可能なので、少ない元手で大きく儲けることができる半面、損失も大きくなる。もともと、価格変動が頻繁に起こり、動きの大きい株価指数や商品先物などの「値動き」に投資するプロ向け商品なので、「損するとFXの比ではない」とされる。そのため、欧米では個人投資家に規制を設けているところもあるほど。

   日本では、損失が膨らまないように自動的に「損切り」するロスカット・ルールを導入しているほか、各証券会社が口座開設時の「審査」を厳しくしている。たとえば、ひまわり証券では「6か月以上証拠金取引の経験がある」などの「ハードル」を設けて、投資初心者の利用を制限している。

オリックス証券は1か月足らずで1000口座獲得

   インターネット証券最大手のSBI証券は、CFDの取り扱い開始に向けて現在準備を進めている。当初は08年内をめどにサービスを提供する予定だったが、「システム整備に時間がかかっている」(広報担当者)状況だ。

   同社はCFDを導入する狙いを、「当社は一つの口座でさまざまな商品に投資できることを基本的なコンセプトとしていますので、CFDもその品揃えの一つです」と説明、「同じ仕組みのFXが好調なので、需要は高いとみています」と話す。

   その「読み」は確かなようだ。08年12月15日に取り扱いを開始したオリックス証券は、実営業日が1か月ないにもかかわらず、1000口座を獲得した。「FXのスタート時と比べて、4、5倍の勢い。かなり調子がいいです」と明かす。

「これから認知度が上がる商品であり、投資経験のある人が早めに気づいて開設してくれていると思う」(オリックス証券)

   早くからCFDに目をつけ、05年11月から取り扱いを開始したひまわり証券は、「導入のきっかけは株価指数先物などを利用する投資家がリスクヘッジ商品を求めてきたことだった」と振り返る。たとえば、昼間に東京市場で買った日経225先物が、夜間に急に大きく値が動いたときに、シカゴ市場で売れるといった取引を可能にするために、当時ロンドン市場で普及していたCFDを導入した。利用者は「それなりに投資経験を積んだ人が多い」とのことだ。

   ひまわり証券は、ネット証券の参戦を「大歓迎」という。取り扱う証券会社が増えればCFDの認知度も上がるからだが、すでにその効果も現れていて、「当社の口座数も順調に伸びています」(広報担当者)という。