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「バレンタイン商戦」始まる 不況でもチョコっと高めが主流

   2月14日の「バレンタインデー」に向けて、百貨店では恒例の「バレンタイン商戦」が始まった。不況で消費全体が冷え込んでいるが、本命、義理チョコともに08年よりお金をかける女性が多いようだ。また、「ちょっとした贅沢」として自分用に買うチョコも定着、2009年のバレンタインにかける関連業界の期待は大きい。

本命は平均3325円、義理1172円

お返し期待して予算を増やす?(写真はイメージ)
お返し期待して予算を増やす?(写真はイメージ)

   プランタン銀座が行った「バレンタインデー」に対する女性の意識調査によると、チョコレートの予算は、本命が平均3325円、義理が1172円、自分用が3167円となった。昨年に比べて本命は275円、義理は143円アップした。自分用に買う「自分チョコ」については469円も上がった。不景気で消費を抑える傾向にある中でも、女性にとって「バレンタイン」は欠かせないイベントであることがうかがえる。プランタン銀座は、「手頃な価格で贅沢ができるチョコレートへの出費はがんばってもよい、と考えているのかもしれない」とみている。

   09年2月14日のバレンタインデーは土曜日にあたるため、会社での義理チョコは減るという見方が強かった。ところが調査では、1人あたりの義理チョコ数は7.7個で、昨年に比べて0.1個減とほぼ横ばい。いまやコミュニケーションを円滑にする立派なツールで、季節のギフトの役割も果たすからだという。また、お返しを期待して予算を増やして贈る人も多いともみられる。

   一方、本命の相手とのバレンタインデーの過ごし方については、「レストランなど外で食事する」(32%)と並んで「家で一緒に過ごす」が30%にのぼり、チョコレート以外の出費は抑える傾向にあるようだ。

   調査はメールマガジン会員約2万人に2008年12月22日~25日に実施し、女性292人の回答を得た。平均年齢は35.5歳。

   プランタン銀座では、09年1月20日から2月14日までバレンタインフェアを行う。前年に比べて11ブランド増えて65ブランドから約600アイテムを販売する。台湾のチョコブランド「ディーバライフショコラティエ」が日本初上陸するほか、京都の料亭が手がける「料亭チョコレート」、「焼酎ショコラ」といった「和ブランドチョコ」も登場。価格は1000円台が中心だ。

自分用として購入する女性客を狙う

   東京・丸の内で働くOLが多く訪れる大丸東京店は、「ショコラプロムナード」と銘打って2月3日から2月14日までフェアを実施する。海外ブランドを中心に53ブランドを扱う。フランスの高級ショコラティエ「リシャール」は、アクセサリーブランドとコラボレーションした、チョコの形の携帯ストラップを付けたセットを販売。他にもプリンやモンブランの形をしたショコラもあり、自分用に買いたくなるような商品も揃えているのが特徴だ。広報担当者は、

「不景気にもかかわらずクリスマスや年末年始は食品の売上げが好調で、イベントにはちょっと奮発して贅沢をしたいという心理がうかがえます。バレンタインについても、客単価が上がるのではないでしょうか」

と期待している。

   海外40ブランド、国内40ブランドを扱い、大規模に展開するのは銀座三越だ。女性が大好きな「日本初上陸」ブランドや「限定品」が登場し、ギフトだけでなく自分用としての購入を狙う。売上げ目標は前年比10%増を掲げている。広報担当者はこう話す。

「衣料品の出費は抑えてもおいしいものを食べたいという女性は多く、消費全体が落ち込む中でもスイーツの売上げはキープしています。近年、バレンタインは世界中のチョコが集まる『チョコの祭典』としても定着しており、この時期しか食べられないチョコを自分用に購入する女性が増えています」

   販売期間は1月27日から2月15日まで。例年はバレンタインデー当日の2月14日までだが、今年は最終日が土曜日に当たり、週明けにチョコを渡すニーズもあるとみて延長する。

98.3%の女性「身近な男性からチョコもらえたらうれしい」

   バレンタインの場合は、女性が男性にチョコレートを贈るのが一般的だが、「チョコをもらいたい」という女性は意外と多い。森永製菓が10歳代~50歳代の男女800人に調査を行ったところ、98.3%の女性が「身近な男性からチョコをもらえたらうれしい」と回答した。また、チョコをくれる男性を「気がきいている」(66.7%)、「すてきだなと思う」(44.3%)と高く評価している。「チョコをくれた男性を異性として意識するか」の質問には、「すると思う」(20.0%)、「人によるが、すると思う」(57.5%)と答え、8割近くの女性が恋心を抱く可能性もあるようだ。調査は08年12月4~6日、インターネットで実施した。

   男性から女性にチョコレートを贈る「逆チョコ」を広めようと、同社はシリーズ3品を09年1月13日から全国のコンビニエンスストアやスーパーマーケットで発売している。「ダース」「カレ・ド・ショコラ」「小枝」の3シリーズのパッケージを、通常の商品とは反転させたデザインに仕上げた。広報担当者は、

「男性から女性に、または友達同士で、気軽にチョコをあげるきっかけになることを期待しています。流通サイドからは話題作りになる、売り場が活気づきそう、と好評で、専用コーナーを設けているコンビニもあります」

と話し、通常商品も含め3シリーズで前年比1.5倍の売上げを狙う。