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毎日記者「うそばかり」に反論 西海市「見解の相違」と譲らず

   長崎県西海市の市長が、毎日新聞の記事に反発して、記事の問題での取材を拒否していることが分かった。毎日記者は、市長に「うそばかり」と言われたとして、紙面コラムで反論。ともにお互いの正当性を主張して譲らない構えだ。

西海市、研修生問題での毎日取材を拒否

市長の取材拒否を明かした毎日新聞のコラム
市長の取材拒否を明かした毎日新聞のコラム
「入管にウソを言ったと記事に書いてありますが、そのような見解を持っていません。新聞社とこちらの見解に相違があるということです」

   西海市の総務部長は、J-CASTニュースの取材に対し、山下純一郎市長を代弁して、こう怒りを露わにした。

   毎日新聞は、九州地方の2008年11月13日付夕刊記事で、西海市の中国人農業研修生受け入れ事業で未払い賃金などの労働基準法違反があったとして、市の管理体制を問題にした。その後も続報を書いているが、長崎県版に載った09年1月27日付の記者コラム「島じま」で、記事を巡って、山下市長から取材拒否を受けたことを明かした。

   そこでは、次のように市長から言われたと書いて、ネット上で反響を呼んでいる。

「うそばかり書くところとは話はしない」

   毎日記者が、山下市長に取材を申し込んだところ、こう言うだけの一点張りだったというのだ。この記者は、コラムで「こちらの言い分を聞くことはおろか、市長としての見解すら示さなかった」と指弾している。そして、事業を推進した自治体トップとして、原因究明と再発防止を市民に説明する責任があるとして、「改めて市長に見解を求めたい」と締めくくっている。

   これに対し、前出の総務部長は、「そんなにストレートには言っていません。市長としては、さらにわれわれの考えを曲げて書かれたら困るので、この件での取材には応じられないと言ったわけです」と説明。原因を含む経緯や再発防止については、市民代表の議会にすでに説明したとして、毎日新聞に対しては、「見解を示す必要がなかった」と主張している。

「市長には再三の取材申し入れにも応じていただけない」

   ところで、毎日新聞に考えを曲げられて書かれたというのは、どんなことだったのか。

   西海市総務部長によると、一連の記事のうち、九州地方の2009年1月3日付朝刊に載った「西海市が虚偽報告」がそうだという。

   毎日は、この記事で、市が中国人農業研修生の研修を来日約1か月で160時間実施したと法務省入国管理局に報告したのは、虚偽だったと指摘。実際には、1か月の研修時間は不明で、年間を通じての記録も取っていなかったとして、これが国の処分対象になる不正行為に当たる可能性を入管が調査していると報じた。また、市が法務省指針に定められた研修生への聞き取り調査をしていなかったとも書いた。

   市農林振興課のコメントとしては、「農家による研修や忘年会、運動会への参加も加算して報告した。指針の存在を知らなかった。市に(管理、監督する)能力がなかった」と、全面的に非を認めるようなものになっている。

   これに対し、総務部長は、虚偽の報告はしておらず、160時間の研修は実際にしたと反論する。日本での生活に必要となる地域での祭り参加や商店街でのショッピングが研修に含まれているとしている。

   一方、毎日の記者コラムでは、「うそばかり」と言われたという記事内容が何なのか、そして、それに対する反論を具体的に書いていない。この点について、毎日新聞社は、J-CASTニュースにFAXで回答を寄せ、「『うそばかり』は1月3日付記事に対して言われたと思われますが、市長には再三の取材申し入れにも応じていただけないため、西海市の研修生問題報道のうち、どれを『うそ』と言われているのかわかりません」と説明している

   市が曲げて書かれたとしている1月3日付記事については、同社では、「西海市農林振興課は弊社の取材に対して『入国管理局からは、集合研修は約2割しかしていない、と指摘された。認識が甘かった』と認めました。約2割はあまりに低い数字で、弊社は事実上の虚偽報告にあたると判断しました」と反論。入管ではなく、毎日が独自に「虚偽報告」とみなしたことを明らかにした。

   市総務部長が祭り参加などを研修に含めたとしている点については、「その裏付けとなる記録が存在していないことも弊社は確認しています」としている。また、記事掲載について、「弊社に続いて報道した朝日新聞(1月4日)、読売新聞(1月6日)、西日本新聞(同)、長崎新聞(同)も、いずれも『西海市が虚偽報告』と伝えました」と、毎日だけでないことを強調している。

   なぜこの記事で、虚偽報告をしていないという市側の見解を載せなかったかについては、「西海市の主張は掲載しています」と話している。