2024年 4月 20日 (土)

デジカメ、楽器から健康チェックまで登場 携帯電話はどこまで進化するのか
携帯電話研究家・木暮祐一さんに聞く

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   かつて携帯電話と言えば、文字どおり「携帯できる電話・移動式電話」という意味だったが、ここ20年ほどで急速な変化を遂げた。「通話機能にとどまらず、様々な通信ができる情報端末」との意味を込めた「ケータイ」という呼び名も定着した。ここ数年を見ただけでも、ウォークマンケータイやスマートフォン、タッチパネル型ケータイなど、多機能化が目立つ。今後、ケータイ端末やサービスは、どう「進化」していくのか。展望を、携帯電話評論家の木暮祐一さんに聞いた。

――ここ10年ほどのケータイの発展は、めざましいものがあります。昔はショルダーフォンとよばれるものを使っていて、すごく重かったことをよく覚えています。

木暮   昔は、メディア関係者や政治家ぐらいしか持っていませんでした。当時から比べると、隔世の感がありますよね。携帯電話は、だいたい10年サイクルで進化していて、ネットワークの進化の歴史と密接に関連しています。
   「第1世代」と呼ばれるケータイは79年に誕生したのですが、1999年にサービスが終わっています。1993年には、「mova」に代表されるような、デジタル方式を採用した「第2世代」が登場しました。これも、あと数年でサービスが終了します。現在主流の「第3世代」が出てきたのが2001年で、現在は8年目ですね。「今のネットワークでできることは、すべてやり尽くした」というのが実際のところかもしれません。

2011年あたりが通信サービスのターニングポイント

ケータイの今後の展開について語る木暮祐一さん
ケータイの今後の展開について語る木暮祐一さん

――端末の機能は、どのように進化してきたのでしょう。

木暮   99年にはiモードが登場して、直後にEZweb(イージーウェブ)が始まりました。このようにして、ケータイがインターネットにつながったんですね。00年にはカメラ搭載のケータイがJ-フォンから初登場しました。01年には、アプリケーションがケータイ上で動くようになりました。表向きには「ゲームをするためのもの」と言われていたのですが、実は、これが「ケータイがPC化した」瞬間だったんです。ひとつのターニングポイントです。04年には「おサイフケータイ」が始まり、電子マネーとしての役割を果たすようにもなりました。

――この10年間のケータイの多機能化はすさまじい。-今後、どのような進歩を遂げていくのでしょうか。

木暮   現在のネットワークでの最大通信速度は下りは7.2Mbpsですが、ようやくPCでの少し前のブロードバンドの速度になっている、というところです。動画のサービスが登場して、ケータイ上で動画を見ることができ、一方で「着うたフル」といった、音楽をネットワークで購入する、というような動きも進んできた。
   第3世代が出てきた01年には「何やるの?」と困っていたのですが、皆さんが色々なアイディアを出した結果、ここ5年でニコニコ動画、ユーチューブ、高画質カメラなどが急速に発達しました。同じようなことが、第4世代の時も起こるのではないでしょうか。
   数年後には10Mbps以上速度が出るようになるでしょうし、第4世代が普及すると、100Mbpsは出るようになるでしょう。アナログ放送も終わることですし、2011年あたりが通信サービスについて何らかのターニングポイントになるのではないでしょうか。

――100Mbpsというと、今の「光」ぐらいの速さです。

木暮   これまでの例を振り返ってみると、ケータイはPCのちょうど3~4年後を追いかけているんです。例えば1995年にはウィンドウズ95が出て、その4年後にはiモードそしてEZwebが出る、といったように。グーグルがPC向けにサービス展開を始めてから3~4年後に、ケータイ向けのサービスが始まっています。PCの世界ではブロードバンドを生かしたサービスが多く展開されているのですが、同様のことがケータイでも起こるのではないでしょうか。

――端末について言えば、3~4年後には、どんな進化がありそうですか?

木暮   一時期、ノートPCに何でも詰め込みすぎて、ほとんど持ち歩けなくなったようなことがありました。逆に、現在は、目的・機能別に棲み分けが進んでいます。オールインワンのものもあれば、廉価版のPCもよく売れていますよね。
   これと同じようなことが、ケータイでも起きています。ユーザーが目的別にケータイを選ぶ傾向が出ています。例えばauは、ひとつひとつの機種に目的を明確に当て込んで作っている印象があります。「ケータイをカメラが使えればいい」という人は、カメラ機能が充実している端末を選ぶし、音楽を重視するユーザーであれば「ウォークマンケータイ」を選ぶでしょう。使う目的に応じた機能の分化が進んでいます。「高感度カメラケータイ」や「楽器ケータイ」、「3Dケータイ」など、特徴的な機種も色々と出ていますね。3Dケータイなど、3D液晶自体は以前から開発されていたのですが、これを実際に商品化してしまうところがチャレンジングですよね。
   ドコモは目的別に4つにカテゴリーを分けています。特に、「PRO」と呼ばれるハイエンドユーザー向けのカテゴリーでは、「ブラックベリー」などのスマートフォンにも力を入れ出しました。ただ、同社は慎重派と言えるかも知れません。数年前には、「905シリーズ」として、オールインワンの機種を沢山リリースしました。ビジネスパーソンなどには歓迎された一方、「時代にそぐわない」と判断された面もあったようで、方針転換に踏み切ったのだと思います。
   また、ソフトバンクは「安さ」のイメージ戦略に重点を置いているように見受けられ、業界を引っ張っていくことを期待しています。今後の動向が注目されます。
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