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「市民記者」のオーマイニュース 2年半で撤退、4月下旬サイト閉鎖

   情報サイト「オーマイライフ」を運営していたオーマイニュース(東京都中央区)は2009年3月25日、4月24日にサイトを閉鎖することを発表した。「市民みんなが記者だ」をスローガンに、鳥越俊太郎氏を編集長に迎え華々しくオープンしたが、閲覧数は低迷、「炎上」などのトラブルも相次いだ。08年には生活情報サイトとして再起を図ったが、最後までビジネスモデルを構築できず、開設から2年半でその幕を下ろすことになった。

「市民みんなが記者だ」をスローガンに06年8月にオープン

「オーマイニュース」は06年夏、鳴り物入りで日本上陸した
「オーマイニュース」は06年夏、鳴り物入りで日本上陸した

   ウェブサイトに告知が掲載されたほか、同サイトに登録していた「市民記者」宛てにもサイト閉鎖がメールで通知された。ウェブサイトでは、サイト閉鎖の経緯について

「この度、世界的な経済状況の悪化から、サイトの閉鎖を決定いたしましたが、今後の市民記者メディアの発展には大きな期待をしております」

と「不況が原因」と説明している。一方、市民記者向けのメールでは、以下のように陳謝する文面のみで、経緯の説明はない。

「改めて御礼申し上げますとともに、突然のお知らせとなり、市民記者ならびに読者のみなさまにはご迷惑、ご不便をおかけしますことを深くお詫び申し上げます」

   メールによると、市民記者からの投稿は3月30日まで受け付け、ウェブサイトの更新は4月3日まで行われる。4月24日には、現行サイト「オーマイライフ」旧サイト「オーマイニュース」ともに完全に閉鎖され、翌25日以降は、これまで掲載されていた全ての記事にアクセスできなくなる。データベース上にある記事のデータも完全に消去されるといい、同社では、自分が書いた原稿を保存したい市民記者に対しては、サイト閉鎖までにデータを読み出すように呼びかけている。未払いの原稿料については、4月末までに支払いを終えるという。

   今回閉鎖されたサイトは、韓国の市民記者によるニュースサイト「オーマイニュース」の日本版として「市民みんなが記者だ」をスローガンに06年8月にオープン。韓国のオーマイニュースが7割、ソフトバンクが3割出資して日本法人を設立し、初代編集長に毎日新聞出身のジャーナリスト、鳥越俊太郎氏を迎えた。

   スタート当初から、鳥越氏が「ネットコミュニティー」に疎かったことが批判されたほか、記事のコメント欄に批判が殺到し「炎上」状態になるなど、トラブルが相次いだ。

ページビューが低迷、経営が行き詰る

   経営面では、バナーなどによる広告収入での運営を目指したが、「市民記者」が提供する記事の内容が「感想文」に近いオピニオン系の記事が多かったことからページビューが低迷、経営は行き詰まっていた。

   前社長の元木昌彦氏が「日経ビジネス」08年10月20号の「敗軍の将、兵を語る」で明かしたところによると、08年6月末には、全社員を解雇してもいる。

   08年7月には、オーマイニュースに出資しているソフトバンクの関連会社「アイティメディア」出身の小宮紳一氏を新社長に迎え、08年9月には「ニュース」の看板を下ろし、生活情報を中心としたサイト「オーマイライフ」として出直しを図った。

   小宮氏は当時、J-CASTニュースに対して

「もっと読まれる、支持されるメディアにならないといけない」
「カテゴリーを明確化したことで広告が取りやすくなる」

などとして、従来のバナー広告の他にタイアップ広告に力を入れ、財務基盤を改善したい考えを明らかにしていたが、リニューアルからわずか7か月で閉鎖に追い込まれる結果に終わった。