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民主党都連SNS「炎上」 閉鎖して「仕切り直し」

   ネット上での「炎上」が相次ぐ中、今度は民主党のSNSが閉鎖に追い込まれた。民主党の東京都連が都議選を視野に、政策議論の場として立ちあげたのだが、アクセスが集中したうえ、政策とは関係ない書き込みが相次ぐなどして、開設1週間でサービス停止に追い込まれた。都連では、運営ルールなどを公募して「仕切り直し」を迫られることになった。

本来の目的とは関係のないコミュニティが乱立

   トラブルに巻き込まれているのは、民主党の東京都連が開設した政策立案サイト「東京ライフ」。同サイトは2009年6月12日、東京都議選(7月3日告示、7月12日投開票)に向けての記者発表会の場で発表されたもの。「東京ペディア」と銘打った、ウィキペディアと似た外観をした生活情報ページや、SNS形式の「電子フォーラム」などが設けられた。

   「フォーラム」は、「議員との議論の場を提供する」という触れ込みで、利用者登録すれば、「ミクシィ」のような代表的なSNSと同様、日記をつけたり、「コミュニティ」と呼ばれるテーマ別の掲示板に書き込んだりできる。ところが、このコーナーが「炎上状態」に陥ってしまったのだ。

   フォーラムは都内在住者や都内勤務者の利用を想定していたものの、ミクシィと違って、利用登録に他の利用者からの招待が必要なかったことや、フリーメールなどのいわゆる「捨てアド」でも登録可能だったことから、事実上、誰でも匿名で登録可能な状態になっていた。

   そのため、「2ちゃんねる」などから利用者が大量に流入した模様で、サイト本来の目的とは関係のないコミュニティが乱立。例えば、「調子のいい公約を並べるけど実現できなかった時のペナルティーに言及する議員はいない」として、「罰ゲームを考えよう」と題したものや、アニメキャラ・民主党の一部議員が規制に向けて活動しているとされる成人向けゲーム関連のコミュニティが次々に作られた。中には、「自由民主党こと自民党のコミュニティ」というものもある。

   このような状況を受けて、オープン1週間後の6月19日には、「アクセスが集中し、つながり難い状況が続いたため」として、フォーラムの運営は事実上の中断に追い込まれた。

インターネット選挙解禁、これでどうなる

   翌6月20日には、「『東京ライフ』電子会議室の再構築にあたっての『知恵と工夫』募集のお知らせ」という文章が発表され、事実上の「仕切り直し」をする方針が明らかにされた。文書は都連と「東京ライフ」総編集長の鈴木寛・都連幹事長(参院議員)の連名で発表され、一連の事態について「我が国のインターネットを活用した民主主義の発展の観点から、一層の知恵と工夫を凝らしていく必要性が生じている」と説明。フォーラムについては「コンセプト・運用指針・システムを再構築する」としている。

   一方で、「インターネット選挙解禁に大きな弾みをつけていきたいとの万感の思いをこめて、様々なリスクを覚悟で、開設に踏み切った」と、サイト開設の意義を強調。

「今回の試みが、インターネット解禁に反対する勢力の主張を裏付けるような結果に終わったならば、我々の時代に、政治・政策分野におけるインターネット利用促進を、論壇や国会の場で決着させることはほぼ不可能になります」

とまで言い切っている。

   都連では6月27日までの1週間、フォーラムの運営についての「知恵と工夫」を募集しており、寄せられた意見を踏まえて新たな運営方針を定めたい考えだ。