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うそ証言「バンキシャ!」検証番組 誰が見る日曜深夜「24時50分」!

   うその証言をもとに岐阜県の裏金疑惑を報じた、日本テレビの「真相報道バンキシャ!」の誤報問題をめぐり、放送倫理・番組向上機構(BPO)が同社に対して初めての勧告を出した。勧告を受けて、同社は検証番組を放送することを発表。ところが、放送されるのは日曜深夜の放送枠なのだ。他社の過去の検証番組は22時台が多いだけに、「問題を目立たないようにしたいのでは」といった憶測を呼びそうだ。

週明けの勤務を控えるなか、「注目度は低い」時間帯

   誤報問題をめぐっては、NHKと民放でつくる第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)が2009年7月30日、日テレに対して検証番組を放送するように求める「勧告」を出した。関西テレビの情報番組「発掘!あるある大辞典II」の捏造問題を受けて07年に同委員会が発足して以来、「勧告」を出すのは初めて。

   勧告では、証言がうそであることを見抜けなかった番組制作体制を批判した上で、岐阜県に業務妨害という実害を与えたことを問題視。09年3月に番組内で行ったお詫びについても、「放送法による訂正放送として不十分」と断じた。

   これを受けて、日本テレビは8月16日放送の同番組内で、検証結果をまとめたものを放送した上で、BPOの勧告を踏まえた検証番組を放送することを発表した。

   ところが、この検証番組が放送されるのは、翌8月17日0時50分から。言い換えれば、「日曜日深夜24時50分」。この放送枠は、日テレ系列局が過去に制作したドキュメンタリーを放送する「NNNドキュメント」と呼ばれるもので、ここ数週間で放送されたものは「生活保護ビジネス 福祉施設の『闇』に迫る」「こちら西伊豆、週末診療所 医師偏在に挑む」といった「硬派」なものだ。「見応えがある」枠だとも言えるが、多くの会社員が週明けの勤務を控えるなか、「注目度は低い」時間帯だということは間違いない。

時間帯をめぐって会見の場で報道陣からも疑問の声

   テレビ業界が不祥事を受けて放送した過去の検証番組と比べても、その「地味さ」は際だつ。例えば最近の例で言えば、NHK職員がインサイダー取引をしていた問題をめぐり、NHKは08年6月16日の22時から検証番組を放送。前出の「あるある」問題でも、関西テレビは07年4月3日の22時から約1時間10分にわたって、CM抜きで放送した。NHKの不正経理などが問題化した04年には、12月19日の21時から、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏などをゲストに迎え、検証番組「NHKに言いたい」が2時間15分にわたって生放送された。

   さらに過去の例をさかのぼると、TBSがオウム真理教幹部に放送前のテープを見せた直後に弁護士一家が殺害された「坂本弁護士ビデオ事件」の検証番組に至っては、1996年4月30日19時から3時間53分にわたって、CM抜きで、テレビとラジオで放送されている。

   今回の日テレ検証番組の「地味な時間帯」をめぐっては、会見の場で報道陣からも疑問の声があがったが、細川知正社長の答えは、放送枠が「NNNドキュメント」であることから、「ふさわしくないとは考えていない」。

   前出の「あるある」捏造問題の視聴率は、22時台としては低い5.1%にとどまった(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。今回の検証番組の注目度は、さらに低いものになることが確実だ。