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国内1000カ所「日焼けマシン」 発がん高リスクで「どうなる」

   世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)の調査で、人工的に肌に紫外線をあてる「日焼けマシン」は、たばこやアスベスト(石綿)と並んで発がん性のリスクが極めて高いことがわかった。日焼けサロンはブームの頃に比べてだいぶ減ったが、スポーツジム、室内プール、スーパー銭湯などにも日焼けマシンが置かれていて、国内1000カ所にのぼる。業界団体や国はWHOの調査をどうみているのか。

30歳未満の使用、リスクが75%高まる

   IARCは、日焼けマシンを30歳未満に使用した場合、皮膚がんのなかでもっとも悪性とされている「悪性黒色腫(メラノーマ)」にかかるリスクが75%高まることを科学的に証明し、英医学雑誌で2009年7月29日に発表した。この結果を受けて、WHOは日焼けマシンの使用による発がん性のリスクを、たばこやアスベストと並ぶ最高レベルに引き上げた。

   WHOはこれまの研究でも日焼けマシンが皮膚がんを引き起こす可能性が高いとして注意を呼びかけていた。特に若い時に紫外線を浴びるとリスクが高まることから、18歳以下の日焼けマシンの使用を禁止するべきだと2003年に警告している。

   日焼けサロンで多くみられるのが、ベッド型の日焼けマシンだ。紫外線を出す蛍光管が上下に設置されていて、仰向けに寝ているだけで全身をムラなく焼くことができる。料金は1回1000~3000円ほど。1990年代に顔を黒くする「ガングロ」や小麦肌がブームになり、日焼けサロンで肌を焼く若者が続出した。

   最近は紫外線が肌に悪影響を及ぼすと考える人が増えたこともあり、日焼けサロンはピーク時より減っている。それでも業界団体、日本セーフティ・タンニング協会(東京都目黒区)によると、日焼けサロン専門店が全国に約500店舗、スポーツジム、室内プール、スーパー銭湯などの複合施設を含めると、1000カ所に日焼けマシンが設置されている。

厚生労働省は管轄外、経済産業省でもない

   日本セーフティ・タンニング協会の顧問をしている長岐俊彦さんは、WHOの調査について、

「メラニン色素を作る能力が低い白人と、黄色人種を一緒にするのは間違っています。それに、メディアは日焼けサロンを悪く言っていますが、太陽にあたるのと同じことです。長時間あたるのはよくありませんし、メラニン色素を作る能力が備わっていない子どもは白人同様日焼けしないほうがいいのは以前からわかっていることです」

といっている。

   同協会では安全に日焼けできるよう自主的にガイドラインを作り、16歳未満の使用を禁じている。

   一方、国はどうみているのか。日焼けマシンは医療機器に当たらないので厚生労働省は管轄外だし、製品の事故、製品による怪我ではないので経済産業省でもないという。

   経済産業省製品安全課の担当者は、

「WHOのレポートは重大に受け止めていますが、それだけでは製品と病気の因果関係を結びつけられません。国内で医学的に証明する必要があり、仮に日焼けマシンを使って皮膚がんになったと訴える患者さんがいても、本当に日焼けマシンによるものなのか、断定するのは難しいと思います」

と話している。