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緊急地震速報今度は活躍? 東京では30秒の「余裕」

   静岡県の駿河湾を震源として起きた地震で、緊急地震速報が活躍を見せている。速報は、テレビで流れたのはもちろん、携帯電話会社は警告音とともにメールでも配信。「間に合わない」と批判を受けることもある緊急地震速報だが、震源に近い地域でも1~2秒程度。震度4の揺れがあった東京都でも、20~30秒程度の余裕があった。

震度5強の菊川市などでは5秒以内の余裕

   2007年10月に本格運用が始まった緊急地震速報は、初期微動(P波)をとらえ、強い揺れ(S波)が来る前に注意を促すためのもの。震度5弱以上が予測される場合は速報が出る仕組みだ。08年6月の岩手・宮城内陸地震では、内陸直下型の地震だったこともあり、震源に近い地域では速報が間に合わず、速報の存在意義について疑問を呈する声もあがっていた。

   ところが、09年8月11日早朝に起きた地震では、様子が違うのだ。気象庁の発表によると、最初に地震を検知したのが5時7分11.1秒で、緊急地震速報の第1報が出たのが、その3.8秒後の5時7分14.9秒。地震の推定規模はマグニチュード5.9で、静岡県東部で震度5以上、同県伊豆や山梨県、神奈川県などで震度4以上が予想される、という内容だ。

   気象庁の試算によると、実際の地震で震度6弱を記録した御前崎市などでは1~2秒程度の余裕があったほか、震度5強の菊川市などでは5秒以内の余裕があったとみられる。

   緊急地震速報は、在京テレビ各局も速報。震度4を観測した東京23区では、30秒程度の余裕が生まれた。例えば、NHKの朝のニュース「おはよう日本」では、こんな具合だ。

   番組では、台風9号の被害状況を伝えていたのだが、気象庁の発表とほぼ同時の5時7分15秒ごろ、速報が突然画面に表示され、事前収録された「緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください」という音声メッセージが流れた。直後に男性アナウンサーが

「静岡県、神奈川県、山梨県の皆さんは、強い揺れに警戒してください。揺れが来るまでは、わずかな時間しかありません」

などと呼びかけ、その後の5時7分53秒頃、東京・渋谷にあるスタジオが揺れ始めた。

NTTドコモ、auも同様の着信音付きサービス

   こう見ていくと、速報から実際の揺れまでには、「心構え」はもちろん、色々と出来ることがありそうだ。

   緊急地震速報は、テレビ以外でも受信できる。例えばNTTドコモは07年12月から、特別な着信音付きで速報を配信するサービスを開始。今回も、地震が起きた5時7分に「静岡沖で地震発生。強い揺れに備えて下さい」という内容のメールを配信している。KDDI(au)も08年3月から、同様のサービスを行っている。ドコモもauも、利用には対応機種で簡単な設定が必要な場合がある。ソフトバンクモバイルは09年秋にサービス開始予定だ。

   気になるのが、気象庁が発表してからメールが配信されるまでのタイムラグだが、各社は

「気象庁から発表され次第、速やかに送るようにしています」(NTTドコモ)
「携帯端末によって収容されている交換機も違いますので、ばらつきがあります。一概には言えません」(KDDI)

と話すにとどまっている。

   速報はPCでも受信できる。気象会社のウェザーニュース(千葉市)では、速報専用のソフトを開発。月額315円を支払って会員になった上でPCに専用ソフトをインストールすれば利用できる。速報を受信すると警告音が鳴り、デスクトップ上に警告画面がポップアップ。揺れが来るまでの時間をカウントダウンしてくれる。同社では、

「気象庁発表からのタイムラグはありません」

としている。