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新型インフル大流行で異常事態 「救急」患者急増、電話問い合わせ殺到

   新型インフルエンザによる中高生の集団感染や死者が確認されたことが相次ぎ、自治体には、心配した人からの問い合わせが急増している。一方、大流行となっている沖縄県では、感染した人が「救急」を利用して駆けつけることが目立つ異常事態となっている。

「救急」の患者数は平均平日103件、休日155件

   厚生労働省は2009年8月21日、国立感染症センターが定点観測している「感染症発生動向調査」による1医療機関あたりの報告数が1.69となったことから、「インフルエンザの流行シーズンに入った」との認識を示した。2009年第33週(8月10日~16日)に医療機関で受診した患者数は、11万人と推計されている。

   とりわけ大流行となっているのが沖縄県だ。沖縄県では2009年第33週、1医療機関あたりの報告数が29.60人だった。この数字は、他の都道府県と比べると圧倒的に高い。沖縄県は19日、「インフルエンザ流行警報」を発令。外出を控えたり、手洗い・うがいを励行したりするといった6項目を呼びかけている。

   沖縄県では症状がひどいために急いで、病院に駆けつける感染者が多い。沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(沖縄県島尻)によると、8月の「救急」による外来患者は平均119件だったという。このうちおよそ3割が新型インフルエンザの患者だったという。「救急」とは、症状がひどく緊急性を要する人や、通常の(朝の受診)時間まで待つことが出来ない場合に、利用される。同病院の「救命救急センター」は24時間受け付けており、自家用車や救急車で来院する。「救急」を利用した人は、平日で平均103件、休日同155件。多いときでは最高204件だった。

   「『救急』による外来患者は例年70件~80件くらいだから、新型インフルエンザのために増えたと思われます」と担当者はいう。患者が殺到しても「今は大丈夫だが、これより増えるとちょっとわからない」と危惧している。また、電話での問い合わせも22日・23日には100件を越えている。

   こうした状況を受けて、沖縄県看護協会では24日から、同協会に所属するOBの看護師らが県立病院などで、電話相談の応援に駆けつけている。沖縄県看護協会によると、「(病院にも)電話の問い合わせがかなり殺到していて、業務にも支障が出ていると聞いた。電話対応をカバーすることで、何らかの力になれれば」という。各病院には1、2人が派遣され、月曜日から土曜日の午後4時~10時を担当する。

相談窓口への問い合わせは8月19日を境に増えはじめた

   もっとも、こうした新型インフルに関する問い合わせは、ほかの自治体でも増加傾向だ。

   千葉県健康福祉政策課によると、新型インフルエンザ相談窓口への問い合わせ件数は8月19日を境に増えはじめ、20日・21日には200件近くあったという。前週は100件未満だった。一方、新型インフルエンザによる死者が確認された神戸市も同様で、相談窓口に寄せられた問い合わせは、18日の78件、19日の132件、20日の165件、21日の150件と順々に増えている。

   問い合わせには医療機関の紹介に関する旨や、発熱があるためどうしたらよいか、といった内容が寄せられるというが、各自治体では現在、発熱外来は廃止・縮小で進んでいる。そのため、一部の専門医を除き、原則として新型インフルエンザに関して、どの医療機関でも受診を受け付けている。

   なお、日本経団連がまとめた「新型インフルエンザ対策に関する企業アンケート」によると、新型インフルエンザに対応する「社内マニュアル」があるとした企業は60.1%だった(09年6月1日現在)。また、24.5%の企業は、年内までには策定したいとしている。さらに、今後1年間で重点的に取り組みたいインフルエンザ対策には、「継続業務の絞込み・業務継続体制の整備」(46.0%)、「発生時対応訓練の実施」(27.3%)、「職場における感染予防・感染拡大防止策の策」(18.1%)などが挙げられている。