J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「スマートフォン」加速度的に広がる 「ビジネス需要」が大きくけん引

   高機能携帯電話「スマートフォン」の市場占有率(シェア)が伸びている。日本に導入された当初は先進的なユーザーにしか使われなかったが、操作性や価格面が向上し、ビジネスマンからの支持が加速度的に広がっている。

09年7月、初めて10%超のシェア

スマートフォンが並ぶ(ビックカメラ有楽町店本館・携帯電話コーナー)
スマートフォンが並ぶ(ビックカメラ有楽町店本館・携帯電話コーナー)

   家電量販店等約2300店の携帯電話販売台数全体に占める、スマートフォンのシェア(調査会社「BCN」調べ)は、2009年1月(2.2%)から右肩上がりで推移している。09年3月には5%を超え(5.5%)、09年7月には初めて10%を超えるシェア(12.5%)となったという。

   スマートフォンはモバイル専用のOSと、キーボード機能を搭載した携帯電話。アイフォーン(iPhone)やブラックベリー(BlackBerry)、アンドロイド(Android)などがある。ユーザー自身がアプリケーションを好みに合わせて設定できるのも特徴だ。日本では04年にノキア製が旧ボーダフォン日本法人(現ソフトバンクモバイル)から、05年にモトローラ製がNTTドコモから発売された。以降もシャープとウィルコムが「W-ZERO3」シリーズで参入したが、市場は拡大しなかった。

   「スマートフォンは当初、海外メーカーの製品が多く、操作性で日本のユーザーが使いにくい部分があった」と話すのは、ビックカメラ有楽町店・携帯電話コーナー主任の大木康弘さん。

「例えば、アイコンの配列やマークの違いなどです。『分かりにくい』という問い合わせをいただいたことも」

また値段も、通常のケータイのハイスペックな最新機種と同じ高価格のものが多く、手を出しにくかったこともあったようだ。

「iPhone以外」のスマートフォン購入「9割以上」が男性

   広がるきっかけとなったのが08年7月にソフトバンクモバイルより発売された「iPhone3G」。09年2月に始めた「iPhone for everybodyキャンペーン」や、6月に発売された「iPhone3GS」がこれを後押しする。

   また、国内メーカーもスマートフォン機種を相次いで拡充し、課題だった画面の推移や操作性などが改善。日本人に親和性の高いスマートフォンが続々と出てきたこと、また価格も通常のケータイと同等程度に落ち着いたことで、販売台数は今年に入り右肩上がりの数字を示している。

   ただ、消費者のニーズは、アイフォーンとそれ以外のスマートフォンで少し違うそうだ。アイフォーンが音楽プレイヤーを軸としているのと対照的に、それ以外はビジネスでの利用を前提とした購入が多いという。

「ワード・エクセルの編集や、PCと同じくらいにインターネット検索が快適にできることが男性のビジネスマンに受けている。アイフォーン購入者の男女比は6:4くらいなのに対し、アイフォーン以外のスマートフォン購入者は9割以上が男性、それも多くが20~40代くらいまでのビジネスマンですね」(ビックカメラ・大木さん)

そんな中、ITmedia+Dが毎月発表している携帯電話の月間販売ランキング(GfK Japan調べ)で、09年7月の「1位」に「iPhone 3GS 32GB」が輝いた。初の1位だという。スマートフォンが今後さらに勢いを増しそうなデータだが、ソフトバンクモバイルの広報担当者は、

「モバイルインターネット社会を実現するためにスマートフォンを拡充する方向ですが、あくまでラインナップのひとつ。それぞれのニーズに合わせて選択してもらえれば」

と慎重な姿勢だった。