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陳情窓口を党に一本化 「小沢支配」さらに強まる?

   民主党の小沢一郎幹事長は2009年11月2日、政府への陳情の窓口を党に一本化する方針を発表した。従来は地方自治体の首長や各種団体の代表が懇意の国会議員を通じて「霞ヶ関詣で」を行っていたが、今後は民主党の幹事長室が陳情の内容を吟味したうえで各省庁の政務三役につなぐ方式をとる。小沢幹事長は「政官業の癒着の排除が目的」とするが、幹事長室が窓口となることで「小沢支配」がさらに強まるのではないかとの懸念もある。

   新方式では、地方からの陳情は各都道府県連で受け付け、幹事長室に要望を上げる。各省庁担当の副幹事長らが内容を精査し、優先順位を付けて政府に伝達する。全国規模の業界団体などの陳情は、党本部の企業団体対策委員会で受け付けて幹事長室につなぐ。自民党政権時代と異なり、それぞれの都道府県や業界の国会議員を通じた個別の陳情はできなくなる。

「族議員的な癒着の構造をなくす」

この日は機嫌が良かったのか、笑顔で会見に応じる小沢一郎幹事長
この日は機嫌が良かったのか、笑顔で会見に応じる小沢一郎幹事長
「これまでの陳情は、各議員・各省庁といろいろ結びつく利益誘導型の政治、政官業癒着の政治を生み出す大きな原因の一つだった。そういうことをなくそうというのが我々の基本的な主張。個人的な、族議員的な癒着の構造をなくすために、オープンでスッキリした形にしようということだ」

   小沢幹事長は会見でそう述べて、胸を張った。「族議員化の防止」を目的に掲げているが、陳情処理を党に一元化することで各自治体の首長や業界団体の取り込みをはかることも狙いとみられる。小沢幹事長も「党の基盤を強化することにもなる」と述べ、そのような点を示唆した。

   新しい陳情方式は政府とも調整済みで、週内に全国会議員と各地方組織に通知される。新方式の取りまとめ役となる高嶋良充副幹事長は2日の会見で

「地元の知事や市長の要望を国会議員の紹介で、幹事長室を通さないで(省庁に)持っていくことは、今後なくなる」

と発言。政府としても、各省庁の大臣・副大臣・政務官が本来の業務で多忙のため陳情を受けられる体制ではなく、新方式を歓迎していると説明した。

   新しい陳情方式は正しく運用されれば、小沢幹事長や高嶋副幹事長が言うように、族議員化の防止や政務三役の負担軽減といった効果が期待できるだろう。しかし、党、特に幹事長室への窓口の一本化は、「小沢支配」をさらに強化することにもつながる可能性を否定できない。