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人が死ぬのをずっと見守る 自殺「見届け人」仕事の中身

   インターネットの自殺サイトを通じ知り合った男女5人が集団自殺を図ろうとした事件が福岡県で起こった。レンタカー内で練炭をたき、一酸化炭素中毒死を選ぼうとしたが未遂に終わり、意識が混濁した男性を置き去りにしたとして男女3人が保護責任者遺棄容疑で逮捕された。逮捕された3人のうち1人は集団自殺を手伝う「見届け人役」だったというが、ネットでは「自殺プランナー」だったのではないか、と囁かれている。

   この事件は大学4年の清水孝容疑者(24)が自殺サイトで一緒に自殺する志願者を募集し、2009年9月19日、車内で清水容疑者以外の4人が練炭自殺を図った。未遂に終わったものの、一酸化炭素中毒で意識不明になっていた無職男性(30)だけをマンションの駐車場に放置し、事件が発覚した。

「プランナー」は自殺したい人を募集する

   清水容疑者は「車の外から様子を見ていた」と供述。この数日前にも清水容疑者は別の場所で集団自殺に関わっていたことから、警察は清水容疑者を「見届け人役」と見ているのだという。

   「見届け人役」というのは自殺の現場に立ち会う人のこと。外部から邪魔が入らないように自殺の始まりから終わりまでを見届け、最後に匿名で警察に通報したりする。また、自殺に必要な練炭や硫化水素、ビニールシートやポリ袋などを用意。インターネットで自殺志願者を募集したり、自殺の仕方や場所を選定したりすることもあるため、ネットでは「集団自殺プランナー」などと呼ばれることもある。

   インターネットの自殺サイトを通じた集団自殺が増えたのは2000年代始めから。1人ではなかなか死にきれないと、仲間を募集。初対面の複数の男女が集まり一緒に自殺するようになった。「見届け人役」が「集団自殺プランナー」と呼ばれるようになったのは08年頃から。自殺に硫化水素が使われるようになると、その扱いが面倒で、周辺の住民にもガスの被害が出てしまう事件も多数起こったこともあり、「プランナー」を頼る人が増えた。また「プランナー」は自ら自殺したい人を募集し、「行為」に及ぶことも多い。

男は袋の端を縛り窒息死させた

   「プランナー」は、集団自殺したいと応募してきた中から選ばれることもあれば、ビジネスとして請け負う場合もある。神奈川県では携帯電話の自殺サイトを開設し、「デスパ」のハンドルネームで「自殺幇助、何でも致します」などと宣伝。女性派遣社員(当時21歳)の自殺を20万円で幇助する事件が起こった。

   当時34歳の男は女性のマンションを訪れ、栄養ドリンクに睡眠導入剤を入れた「死ねる薬」を飲ませた。女性がビニール袋を頭からかぶり、薬で昏睡状態になると、男は袋の端を縛り窒息死させた。08年1月に行われた論告で検察は、「自殺に踏み切れずに苦悶していた被害者をビジネスライクに殺害した。通常の殺人に匹敵」と指摘。懲役13年、罰金100万円を求刑した。

   「自殺幇助サイト」をフィルタリングしているセキュリティーシステム開発のアルプス システム インテグレーションによれば、「自殺サイト」には「集団自殺を募るサイト」「自殺の方法を教える(意見交換する)サイト」「硫化水素自殺サイト」「自分が自殺しようと思っていることを綴っているブログ」などがあり、その代表的なサイトは閉じることが無くずっと続いている状況なのだという。