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外国人参政権法案提出へ 与党内に異論、波乱の可能性

   外国人参政権の法案が国会に提出される可能性が高まった。鳩山首相は「理解は得られると思っている」と法案成立に自信を見せるが、国民主権の観点から違憲の疑いがあるという指摘があるほか、国民新党が反対の姿勢を示すなど与党内にも異論があり、波乱が予想される。

国民新党の亀井代表は「反対」と明言

会見で質問に答える原口一博総務相
会見で質問に答える原口一博総務相

   鳩山政権は2010年1月11日の政府・民主党首脳会議で、永住外国人に地方参政権(選挙権)を付与する法案を、18日召集の通常国会に提出することで合意した。会議では、民主党の小沢一郎幹事長が政府提出の法案とすることを要望。政府側が受け入れた。小沢幹事長は12日の定例会見で

「党内にいろんな賛否の意見があることは間違いない事実だが、日本国政府としての姿勢を明確にするため政府の提案とするのがよいだろうということで一致した」

と政府提案にこだわる理由を語った。しかし、国民新党の亀井静香代表は同日の会見で、外国人参政権の法案に「反対だ」と明言して、民主党の動きを牽制。政府提出法案となると閣議決定が必要となるため、普天間問題や予算編成に続き、またしても亀井代表がキャスティングボートを握ることになりそうだ。

   一方、所管大臣として法案の準備にあたることになる原口一博総務相は12日の会見で、

「特別永住外国人の地方参政権について、私たちは(総選挙前に発表した民主党の)政策INDEXで話をしている。それは、もともと日本人としてその意志に関わらずこの日本に来られていて、地域に長く住んでいる方々に対して、権利が、ある一定の限度だが保障されるのが大事だという考え方だ」

と民主党の政策について説明。法制化については

「(民主党の)政調でも議論があって、さらなる慎重な議論が必要だという結論だった。まだ党と他の党と調整しているところなので、議論の推移を見守りたい」

として、自らの賛否を表明するのは避けた。

賛否が分かれる日本の世論

   永住外国人の地方選挙権については、民主党が結党以来の基本政策として掲げ、09年夏の総選挙前に発表した「政策INDEX2009」でも「早期実現」をうたっている。連立与党を組む社民党に加え、公明党や共産党も賛成の立場だ。自民党は、谷垣禎一総裁が11月に「しっかり議論する必要がある」と述べるなど慎重な姿勢を見せるが、明確に反対の立場を表明しているわけではない。

   マスコミの中には、憲法が定める国民主権に反するとの指摘もある。産経新聞は1月11日付けの社説で「国の主権が損なわれかねない重大な問題である」と主張。同紙の榊原智記者は「地方参政権付与は国民主権の根幹をなす(憲法)15条違反の疑いが強い」と書いている。

   一方、最高裁は1995年2月28日の判決のなかで、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるもの」については、法律で地方選挙権を付与しても違憲ではないと述べている。この判断自体が法的拘束力をもつわけではないが、推進派の根拠の一つとなっている。

   国民のなかでも賛否が分かれている。毎日新聞が2009年11月に実施した世論調査によると、賛成59%、反対31%という結果だった。だが、インターネットの政治情報サイト「Yahoo!みんな政治」が2010年1月に実施したアンケートでは9割以上が反対とまったく異なる結果になっている。