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小沢氏立件なら幹事長辞任 党内からも「批判」相次ぐ

   資金管理団体の土地取引をめぐって元秘書らが逮捕された民主党の小沢幹事長に対して、政治責任を問う声がようやく民主党内から出始めた。前原誠司国交相や枝野幸男元政調会長など、これまで沈黙を守っていた有力議員から「小沢批判」が相次いだ。

   その背景には、検察の再聴取を受けた小沢氏本人の立件の可能性が高まっていることがあるとみられる。小沢氏も2010年2月1日の定例会見で「仮に刑事責任に問われることがあれば、その責任は重いと考える」と述べ、捜査の進展しだいで幹事長辞任もありうるという考えを初めて明らかにした。

「不信を払拭できなければ、ケジメをつけていただく」

「仮に刑事責任を問われれば、その責任は重い」と辞任の可能性を示唆した小沢一郎幹事長
「仮に刑事責任を問われれば、その責任は重い」と辞任の可能性を示唆した小沢一郎幹事長

   小沢批判の口火を切ったのは、西松建設事件のときに反小沢の急先鋒として動いた枝野幸男元政調会長だ。1月31日にさいたま市で開かれた講演会で、

「一定の国民の皆さんの理解・納得が得られなければ、一定のケジメをつけていただかないと」

と発言。国民の理解が得られなければ、小沢氏は幹事長を辞任すべきとの考えを示した。翌2月1日も同市内の街頭演説で

「政権の中枢幹部としては、刑事事件の結果・結論のいかんにかかわらず、国民の皆様からいま受けている不信を払拭できないのであれば、しかるべきケジメをつけていただく」

と道行く人々に訴えかけた。小沢氏と距離を置いていることで知られる前原誠司国交相も1月31日に

「新たな局面が生まれたときには、われわれが厳しく自浄能力を発揮していかなくてはならない」

と発言。捜査の進展しだいで、小沢氏に幹事長辞任を求めていく姿勢を明らかにした。さらには2月1日朝、鳩山由紀夫首相も一般論としてではあるが、

「自浄能力は当然党として発揮しなきゃいけない」

と述べ、「小沢幹事長を信じている」という民主党大会での全面擁護からトーンダウンする姿勢を見せ始めている。

   ここへ来て「小沢批判」が一気に吹き出した背景には、各種世論調査の内閣支持率低下があるとみられる。共同通信が1月17日と18日に実施した世論調査では、支持41.5%に対して不支持が44.1%と鳩山政権発足後初めて、不支持が支持を上回った。その原因として小沢問題があるのは明らかで、小沢氏の進退に関する質問では「幹事長を辞めるべきだ」「議員辞職すべきだ」の合計が73.3%に上った。

小沢氏二度目の聴取を認める

   このような世論の動向は夏の参院選に悪影響を与えると考えられるため、危機感を抱いた民主党議員たちがようやく動き出したといえる。もう一つ、週刊誌などを中心に小沢氏本人の立件の可能性を書き立てる報道が続いていることもきっかけとなっているとみられる。

   週刊現代は1月末に発売された2月6日号で「小沢一郎逮捕へ、私はこう読む」と題して、田中角栄研究で知られるジャーナリストの立花隆氏と元東京地検特捜部長の宗像紀夫氏の対談を掲載。そのなかで、小沢幹事長が「師匠」である田中角栄元首相と同じ運命(=逮捕)をたどるのではないかという立花氏の見方を紹介している。

「角栄は76年の2月にロッキード事件が明るみに出たあと、4月に会見して疑惑を全否定したが、そのときの迫力はいまの小沢などと比べ物にならないほど凄まじかった。ところが、その角栄も3カ月後に逮捕されてしまう。私はいま、小沢の姿が、そのときの角栄にダブって見えて仕方ないんです」

   週刊文春も同時期発売の2月4日号で、「小沢一郎聴取 特捜部『極秘会議』をスッパ抜く」という特集を組み、

「国会に逮捕許諾請求をして、民主党議員でも認めざるを得ない証拠は、刻々と揃いつつある」

という東京地検関係者の言葉を引用した。

   週刊誌報道がどこまで真実かは不明だが、小沢氏が追い込まれてきたのは間違いない。

   一方、小沢氏は2月1日の定例会見で、前日に東京地検の再聴取を受けたことを明かした。

「都内で3時間あまり、いろいろな事項について説明を求められ、知っている限りの事実を包み隠さず申し上げた。内容は、先日(事情聴取が)行われたときとほぼ同じだ」

と説明。民主党内部から進退を問う声が出ていることについては

「私としては不正な資金は一切受け取っていないので、刑事責任を問われる事態は想定していないが、そういうことが仮にあるとすれば、その責任は重いと考えている」

と発言。小沢氏自身が初めて、幹事長辞任の可能性について言及した。