2024年 4月 24日 (水)

出産育児一時金で「経営難」 分娩費用値上げに動く

   出産育児一時金の直接払い制度が始まり、全国一律に42万円が国保連から医療機関に支払われるようになった。妊婦が手元にお金がなくても出産できるようになったのはいいが、一時金が医療機関に支払われるまでに2カ月以上かかる。地域の診療所では資金繰りに窮し、経営難に陥る可能性もあるため、分娩費用を値上げするところも増えている。

   出産育児一時金が医療機関に直接支払われる制度は2009年10 月に始まった。支給額が従来の38万円から4万円アップし、全国一律42 万円となった。旧制度では妊婦が出産後に保険者に申請して一時金を受け取っていたため、妊婦が分娩費用を用意する必要があったが、直接支払い制度により手元にお金がなくても出産できるようになった。

分娩費用「7割が値上げもやむを得ず」

   妊婦にとっては大助かりの制度だが、医療機関は困惑している。一時金を請求してから医療機関が受け取るまでに少なくとも2カ月はかかる。日本産婦人科医会は「現金収入が減り、資金繰りが苦しくなる施設が出る可能性がある」と指摘する。

   日産婦医会医療対策部は直接支払制度に関して、分娩取り扱い病院と診療所2806カ所に09年12月にアンケートを行い、1770の回答を得た。

   アンケートでは全体の85%が直接支払制度を実施していると答えた。新制度による経営への影響を尋ねると、「経営に影響ない」と回答したのは病院の57%だったのに対し、診療所では15%と開きが出た。さらに診療所の21%が「金融機関からの借り入れが必要である」と答え、「金融機関から借り入れしないと経営困難に陥る可能性がある」という回答も21%にのぼる。

   新制度が始まったのを機に、分娩費用を値上げする病院も増えている。

   「分娩費の引き上げを考えていますか」と尋ねると全体の40%が「すでに引き上げをした」と回答。「すでに引き上げたが、さらに引き上げる予定」が8%で、「制度が始まった09年10月の時点では行わなかったが、近々値上げを考えている」(23%)を含めると、7割が値上げもやむを得ないとの考えだ。

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