J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

津波警報が真ん中に テレビ画面表示に不満続出

   日本地図で表示される津波警報のためにテレビが見づらい、とネット上で苦情が相次いでいる。特に、表示が画面の真ん中に寄っていることに不満が強いようだ。

   主人公の顔に、「大津波警報」「津波警報」「津波注意報」の字と、その地域を知らせる日本地図が完全にダブっている。TBS系で2010年2月28日午後5時から放送されたアニメ番組「鋼の錬金術師」の1シーンだ。

アナログで右隅に表示すると、デジタルで真ん中寄りに

駒配置に表示が…
駒配置に表示が…

   アニメばかりでなく、野球のベーススライディングシーンや詰め将棋の駒配置画面、そして、五輪フィギュアのエキシビション演技にも警報表示がかぶっていた。

   テレビが見づらかったことに、ネット上では、不満が相次いでいる。2ちゃんねるでは、「真ん中すぎる…」「全然あたまに入らない」「字幕にして観てたからカオスだった」といった書き込みがあった。

   もちろん、人の生死に関わる情報だけに、理解を示す声も多い。「災害情報のほうが重要だろ」「そんなに好きならDVDかブルーレイで買えw」「TVとかラジオって言うのはこう言う時の為にあるって言っても過言じゃない」といったものだ。

   とはいえ、テレビで見ると、警報表示の右隅などがまだ空いている。なぜ表示が真ん中寄りになっているのか。

   これについて、民放連の関係者は、アナログ放送に配慮したためと解説する。

「デジタル放送の画面で、右隅に表示したとします。すると、画面の横と縦の割合が16対9なのに対し、アナログでは、割合が4対3なので表示が切れてしまうんですね。アナログで右隅に表示しようとすると、デジタルでは横長なので真ん中寄りに表示されてしまうわけです」

   こうした画面表示について、警報などを流す気象庁では、「テレビ局が独自に地図などを作っており、こちらから指示していることはないです。表示まで関知していませんので、特段何か意見を申し上げることではありません」としている。

テレ朝「再放送考えないが、表示に検討の余地」

   一方、ネット上では、番組が見づらかったことに対し、テレビ局側に何らかの対応を求める声が多い。「再放送を断固要求する」といった強いものから、「せめて半透明にするとか、リモコンの何かのボタンを押すと消えるとか」といったように対策が必要との指摘まであった。

   テレビ各局で同様な問題が起きているが、テレビ朝日の広報部では、こう説明する。

「現状では、アナログ仕様にして、画面の右下に表示している認識です。デジタル放送ですと、真ん中寄りに見えるかもしれません。情報がきちんと伝わり、すべての方が認識するのを大前提にしています。地図を見えにくくするのでは、本末転倒と考えています」

   今後の対応については、「再放送などは、考えていません。表示を消せるようにするなどは、今のところどうするという考えはないですが、検討の余地があるかもしれません」という。2011年7月のアナログ放送終了後は、デジタルでも右隅に表示できるかもしれないとしている。

   TBSの広報部では、表示問題について、「津波警報や注意報が出た際には、非常に大きな被害が出る可能性もあることから、放送法の『災害の場合の放送』の規定に則り、視覚的に最も注意喚起できる地図スーパー表示や、速報スーパー、特別番組、L字対応などで到達時刻などを視聴者の皆様にお伝えしています。具体的にどの方法を取るかについては、過去の事例等も鑑みて、そのつど決定しています」と文書でコメントしている。

   なお、TBSでは、日本地図に対馬が表示されず、ネット上で騒ぎになっていた件について、文書のコメントでこう説明している。

「当社の場合、9つの島嶼部については、地図の見易さを優先し、警報・注意報が出た所だけ島の形が表示されるようになっています。このため今回のケースでは、警報・注意報が出なかった『利尻島・礼文島』と『壱岐・対馬』については、表示しませんでした」