2024年 4月 18日 (木)

高橋洋一の民主党ウォッチ
お笑い民主の「天下り根絶」 自公政権より役人やりたい放題

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   民主党への期待のひとつに、天下り根絶があった。

   民主党は、野党時代は自公政権のものを超えて天下りを根絶するといってきた。私は、安倍政権のときに公務員制度改革を立案したが、当時から天下り批判に鋭かった民主党へ政権交代したので大いに期待していた。

   と同時に、一抹の不安もあった。民主党における公務員制度の事実上の司令塔が松井孝治官房副長官だったからだ。松井副長官は、経産省OBのきわめて実務能力の高い国会議員である。元公務員であるので制度や実情をよく知っている。その知りすぎていることが逆に仇になりやしないかと懸念していたのだ。

民主党の迷走

   福田政権下の2008年5月、公務員制度改革法の成立が確実になったときに、渡辺喜美行革担当相(当時)が涙したことを覚えているだろうか。ほとんど成立しないとされていた法案が土壇場の民主党の賛成で成立したのだ。たしかに、あの当時の民主党は建設的で公務員制度改革法の多くを受け入れた。

   ところが、そのとき松井議員は、各府省による個別採用を主張し、原案にあった幹部公務員の内閣による一括採用に反対し、その条項を削除した。実は、公務員制度改革には、幹部公務員に採用から退職までの一連の流れに即していえば、入口の一括採用、中間の内閣による一括管理(内閣人事庁構想)、年功序列賃金の是正、出口の天下り規制の3点セットが必要である。ところが、そのキモである一括採用に対し、松井議員はそれでは役人のモチベーションがなくなるという、役人のいいぶんそのままで反対したのだ。結局、公務員制度改革法の成立を優先して、その分、天下り規制を厳しくやるのなら、仕方あるまいということで、民主党の意向を受け入れた。

   ところが、政権をとった民主党は、天下り根絶と口ではいいながら、迷走した。日本郵政社長に、斎藤次郎氏(元大蔵事務次官)が天下り、副社長に坂篤郎氏(元官房副長官補)と足立盛二郎氏(元郵政事業庁長官)、さらに坂氏の前職であった損害保険協会副会長に牧野治郎氏(元国税庁長官)など、かつての野党民主党なら「天下り」と呼んだはずの人事について、今では「天下り」ではないといっている。そして、鳩山政権は自らの行為を正当化するように、天下りに対する考え方を修正してきた。

   天下りに関する政府見解によれば、「天下り」とは「府省庁のあっせん」による場合に限られ、かつ、「府省庁のあっせん」には、(1)大臣によるあっせん、(2)OBによるあっせんは含まれないという(昨09年11月6日にみんなの党の山内康一議員が提出した「政府の『天下り』および『わたり』の定義に関する質問主意書」と11月17日に閣議決定された政府の答弁書による)。

   これは、安倍政権のもとで成立した国家公務員法改正そのもので、今でも法律で規制されているものだ。鳩山政権になっても、法律破りはできないだろうから、最低限度の対応というわけだ。これでは、自公政権のときを超えて、天下り根絶はできないだろう。現にこれまでの「天下り」を見ると、自公政権よりやりたい放題ではないかとも思えてくる。

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