甘い個人情報管理に厳しい批判 「フェースブック」大慌てで改善策
世界最大のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「フェースブック」が、ユーザーのプライバシー保護問題で揺れている。新しく追加した機能からユーザー情報が「漏れる」うえ、プライバシー設定の方法も不親切だとの指摘が出ているからだ。
米国では上院議員からも批判が飛び出した。最後は経営トップが改善を約束したが、今後もこの問題がくすぶる恐れもある。
知らないうちに「個人情報」公開される
フェースブック(FB)は2004年2月、米ハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグ氏(現CEO)らが創業。学生間のコミュニケーションサイトとしてスタートして以降、米国内だけでなくカナダや英国にも人気が広がり、08年には日本語版が公開された。今日のユーザー数は世界で4億人を超え(FB発表)、世界最大の規模に成長している。
10年4月、FBは新機能を加えた。友人たちとさらに「つながり」を強めるためとしているが、そのうちの一つ、「即時パーソナライゼーション」に疑問の声があがった。FBにログインした状態で、FBが提携するウェブサイトにアクセスすると、わざわざパスワードを入力せずにそのまま「ログイン」になる仕組みだ。
提携サイトは、ウェブ上でマイクロソフトの「オフィス」のドキュメントを利用できる「Docs」や、ネットラジオの「Pandora」などがある。FBの友人関係を保ったまま、別のサイトでサービスを共有できるのだが、問題はプライバシーの「漏えい」だ。例えばDOCSにログインすると、FBで公開しているプロフィルや友人リストなどの情報が、友人以外の第三者やDocs側にも閲覧可能になってしまう。
FBに書かれている即時パーソナライゼーションの説明には、「あなたがすべてのユーザーに公開している情報だけが使用されます」とある。プライバシー設定で公開対象を限定すれば、全員に見られるわけではない。ところが、この設定事項は数が多くて複雑だ。しかも、自分の投稿内容や、友人・家族構成、既婚・未婚の別、居住地といった情報は、最初の設定では公開対象が「すべてのユーザー」とされている。ユーザーが何も変更を加えない限り、知らないうちに公開されてしまう危険性がある。