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東証一部上場グリーが大変身中  中高年をゲームで取り込む

   SNSサイト「GREE(グリー)」を運営するグリーが変身中だ。かつては、20代、30代中心の若者イメージが強かったが、最近ではテレビCMを積極的に打った効果もあって、中高年ユーザーが急速に増えてきた。ボタン1つで手軽に遊べるソーシャルゲーム(SNSで提供される手軽なゲーム)がそのきっかけになったという。

   東京証券取引所は2010年6月1日、現在マザーズ上場のグリーを8日付けで東証一部へ市場変更すると発表した。マザーズに上場したのは08年12月、約1年半での市場変更となる。

会員数は1年間で約2倍

   グリーの設立は04年。一年で約20万人の会員を獲得、日本のSNS黎明期に大きな存在感を示した。05年6月からはモバイルでのサービスも開始し、現在はPCよりもモバイルが中心だ。

   最新2010年3月末の会員数は1843万人。1年間で約2倍になった。月間PVも倍以上の256億に増加。ソーシャルゲームの課金収入や広告収入などが大きく伸び、2010年1~3月の売上高は93億円と、2009年(39億円)に比べ倍以上になっている。

   会員数がこれだけ増えた理由の1つにテレビCMが挙げられる。同社は08年5月から、SNSサイトとしてはいち早くテレビCMに踏み切った。ビデオリサーチコムハウスが出しているテレビCM広告主ランキング(関東地区)によると、グリーが2010年4月にテレビCMを流した回数は計1957回。アサヒビールやキリンビールなどに次いで6位に入っている。日本コカコーラ(8位)やアサヒ飲料(9位)よりも上で、グリーの出稿量がかなり多いことが分かる。

中高年向け攻略サイトも登場

   同社経営企画室によると、テレビCMをきっかけに、性別や年齢関係なく幅広い層の新規会員が増えた。20代と30代が主要ユーザーであることには変わりないが、07年末に9%だった40代以上の中高年会員が最新10年3月には、17%と大きく増加している。

   また、ネットエイジアが10年4月に行った調査でも、40代のSNS登録者のうち約63%がグリーに登録している。ミクシィが59%、モバゲーが43%となっている。

   中高年を惹きつけているのが、携帯から手軽にできるソーシャルゲームだ。ガーデニング、ペット飼育などをテーマとしたゲームがあり、いずれも自社制作だ。中でも人気があるのが07年にソーシャルゲーム第1弾として登場した釣りゲーム「釣りスタ」。ボタン1つで簡単にできるほか、釣った魚を仲間に自慢できるのが受け、ネット上には「中高年のための釣りスタ10段への道」という攻略サイトまで登場している。

   グリーの株価は東証一部上場を発表してから年初来高値を更新。2010年6月2日は、前日の終値と比べて550円高の7000円を記録している。3日の終値は6760円だった。