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物議を醸す「AKB48商法」 「えげつない」のか「うまい」のか

   何かと物議を醸してきたアイドルグループの「AKB48商法」だが、ここにきて彼女達の売り出し方や関連グッズの販売戦略を評価する声が大きくなっている。CDや写真集が結果的にバカ売れ、グループ内の人気投票をマスコミが争って報道するなど「国民的アイドル」に育ってしまったからだ。

   「AKB48商法」が酷すぎるというバッシングはネットから広がった。握手会やイベントに参加するために、同じCDを何十枚も購入しなければならない。

落語家の桂南光さん「えげつない商売だ」

   ツーショット写真を撮影できる権利は「がちゃがちゃ」の当たり券を引く必要があり、これに何十万円もかけてしまった、などという例もあった。先頃行われたメンバー内の人気投票「選抜総選挙」では、CD購入1枚に付き一票の投票権がもらえるため、中にはCDを数百枚買った、などというファンも現れた。

   もちろん今でも批判は多い。2010年6月10日放送の関西ローカル番組「ちちんぷいぷい」で「AKB48」のこうした実態が放送されると、落語家の桂南光さんが、えげつない商売だ、と指摘。

「宗教とか、いろんな商売とか、そうしたものをひっくるめたやり方。ごっつひどい」

   南光さんは今回初めて「AKB48」商法を知ったそうなのだが、この発言がネットで注目され、賛同する人も多い。

   一方で、

「AKBの商法は酷いとも言えるが上手いとも言える」
「ファンは好んでやっているわけだから、楽しみ方は人それぞれ」

   などとバッシング一色ではなくなっている。また、テレビのワイドショーのコメンテーター達の中にも「商売のやり方が上手い」といった発言をする人が増えている。

   アイドル評論家の中森明夫さんは以前から、「AKB48」のプロデューサー秋元康さんの戦略が成功すると考えていた1人だ。

ファンがお金を使ってスターを選ぶのはそう悪くない

   「AKB48」は最初から全国区を目指さずに東京秋葉原という一地区から育てていった。

   しかも、テレビに頼らず劇場でファンと直接的な触れ合いを重視してきた。また、突出したスターを置かずに「チームで勝負」してきた。週刊朝日(10年2月12日号)のコラムでは、こうしたことを挙げ、

「単なるアイドルではなく、事業であり、コンテンツ商品」

   だとし、

「政治、社会、ビジネスにこそAKB的発想法が求められているのではないか?」

と指摘している。

   中森さんは、J-CASTニュースに対し、こう答える。

「ファンはもう少し理性的になった方がいいとは思うが、好きなアイドルにお金をつぎ込む、というのはこれまでもあったし起こりえる現象。アイドル冬の時代には広告代理店やテレビのプロデューサーがピックアップしてアイドルに仕立てていたが、『AKB48』はファンがお金を使ってスターを選んでいる。私としてはこちらの方が健康的な感じがします」

そういうこともあって、「AKB48」の人気はこれからも続くだろうというのが中森さんの予想だ。