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鳩山氏「裸踊り」発言 その真相は動画にあった

   鳩山由紀夫前首相が、辞任以来久しぶりにツイッターを更新した。そこでいきなり飛び出したフレーズが「私に『裸踊り』をさせて下さったみなさん、有り難うございました」というもので、その意味を巡って憶測も飛び交った。「裸踊り」とは、今ネットで話題の動画だったことが判明したものの、あまりにも唐突な表現に、ネット上には騒ぎが広がった。

   鳩山氏は内閣が総辞職した2010年6月4日以降、ツイッターの書き込みをやめていたが、6月15日18時46分、11日ぶりの書き込みを行った。

ネット上で「いたずら」?「なりすまし」?

鳩山氏の書き込みが様々な憶測を呼んだ
鳩山氏の書き込みが様々な憶測を呼んだ

   内容はこうだ。

「『新しい公共』が一人歩きを始めました。こんなに嬉しいことはありません。私に『裸踊り』をさせて下さったみなさん、有り難うございました。その私に続いて『裸踊り』をしようと立ち上がって下さったみなさん、有り難う。この伝播力が必ず社会を大きく動かすでしょう」

   「新しい公共」とは、鳩山氏が09年10月の所信表明演説や10年1月の施政方針演説で言及した考え方で、「官だけでなく、国民全体で公共を担う」ことを目指すもの。鳩山内閣が総辞職した6月4日には、閣議の直前の午前8時30分に「『新しい公共』円卓会議」の最後の会合が招集され「『新しい公共』宣言」をとりまとめるなど、鳩山前首相にとって思い入れの深いプロジェクトでもある。

   だが、「新しい公共」と「裸踊り」がどう関係あるのかは不明だと受け止められ、翌6月16日の朝刊には、

「ネット上で『いたずら?』『なりすましじゃないか』などと疑念の声が広がった」(産経新聞)
「ツイッター登録者らが『なりすましではないか』と疑問を寄せる騒ぎになった」(読売新聞)
「真意をめぐり憶測を呼んでいる」(毎日新聞)

といった記事が並んだ。

   だが、「新しい公共」と「裸踊り」とは、きちんとした関係があった。

   例えば、「円卓会議」に、作業チームの一員として参加していたNPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹代表理事は、鳩山氏の書き込みの約40分後の19時31分に、

「【RT願】鳩山元総理の呟かれた『裸踊り』とは、今ネットで話題のこの感動的な動画のことです」

と、動画のURLを添えて書き込み、多くの利用者にリツイート(引用)された。

   動画は、2010年2月に「TED2010」と呼ばれる講演会イベントで、起業家のデレク・シヴァーズ氏「社会運動はどうやって起こすか」と題して行った講演で紹介したもの。屋外で、ひとりのリーダーが上半身裸で踊り出したのを他の人がまねて踊り、踊る人が次々に増えていく様子を表している。

「鳩山さんの無垢な呟き。やれやれ」

   鳩山氏は、首相辞任後の6月13日に開かれた「あたらしい『新しい公共』円卓会議 設立準備ミーティング」で、この「裸踊り動画」を見ており、

「新しい公共、実は私が『裸で最初に踊った』と言われていますけれども、そういっていただければ大変嬉しい。だが、自分自身が踊ったというよりも、チームの中で松井君(松井孝治・前官房副長官)やスズカンさん(鈴木寛・文部科学副大臣)がその発想を蓄えていて、(その上で)踊らせてもらった。気持ちよく踊らせてもらいましたよ」

と、感慨深げだった。

   だが、鳩山氏のツイッターの書き込みの内容だけでは、「裸踊り」の真意が伝わるはずもなかった。松井氏も、前出の駒崎氏の書き込みをリツイートしたひとりだが、6月16日1時6分には

「鳩山さんの無垢な呟き。やれやれと思う一方、こういうところ鳩山さんの魅力」

と、苦しげなフォローをしている。

   なお、鳩山氏も、夜が明けた9時12分になって、新たな書き込みをしており、

「『裸踊り』 答えはこの動画にあります」

と、動画のURLを紹介。様々に飛び交った憶測に対する「答え合わせ」をしてみせた。その上で、

「官だけでなく国民全体が公共を担う『新しい公共』の理念。私はその理念と共に、動画の中の青年のように、踊り続けていきたいと思います」

と真意を綴った。