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フジテレビ批判「もやしもん」作者 激怒から一転、半日で解決

   人気マンガ「もやしもん」の実写ドラマ化にあたり、酒造メーカーに対しフジテレビがタイアップを持ちかけた。日本酒や焼酎などのラベルに「もやしもん」のイラストを付ける企画だが、作者の石川雅之さんが「出来が悪い」と怒り心頭、ブログでフジテレビ批判を展開した。が、その落ち着きどころは意外なものだった。

   「もやしもん」は講談社の漫画雑誌「イブニング」に連載中の人気マンガ。舞台になっているのは東京の農業大学で、透視のように菌が見えてしまう大学生が主人公。可愛らしく描かれた菌が多数登場することから「菌マンガ」などとも呼ばれる。2007年にはフジテレビでアニメ化された。

「フジさんには悪いけど全部ボツです」

   そして、作中で度々登場するキャッチフレーズが「かもす(醸す)」で、これは酒や味噌、納豆などが醗酵したり、菌が繁殖したりする様を示すもの。酒造メーカーとの今回のタイアップも「かもす」繋がり。

   石川さんは2010年6月19日未明に「『ドラマもやしもん』連動企画にご参加いただいている酒造メーカー様へ」という謝罪文のようなブログをアップした。そこには、

「フジテレビさんの決定方針であろうと反発させていただきます」

と書いてあった。製品に「もやしもん」イラストラベルを貼る企画が進行しているが、石川さんの元に酒造メーカーの情報がフジテレビから全く入っこない、というのだ。石川さんが心配し、ラベルの一部を見た。するとーー。

「フジさんには悪いけど全部ボツです」

   メーカーごとの特徴がラベルに出ていなければならないのに、まるで「もやしもん」宣伝用で、これではメーカーもメーカーの商品のファンも納得いかない、というのだ。

「僕と担当編集が責任を持ってラベルを大至急製作しなおしたい」

   直接フジテレビに伝えず、あえてこういう形にしたのは「緊急性と即応性を重視してのことです」とブログで説明している。手順を踏むことで時間がかかるのを恐れたのだそうだ。

担当プロデューサーが動き、 結局半日で解決

   反応は直ぐに返ってきた。フジテレビの「もやしもん」担当プロデューサーの山本幸治さんは「ツイッター」で、石川さんのブログを教えてくれた人に感謝した後、「きちんと先生に説明してきます」と19日の午前9時24分につぶやいた。そして、午後6時37分に「ツイッター」で、「先程先生と直接話して、修正点や今後の進め方を共有できました」と報告。ブログを見た時に胃が痛くなる思いをしたが、説明してわかってもらえた、と胸を撫で下ろしている。ラベルは石川さんに監修してもらい、了解したもの以外は出さないことにしたそうだ。

   山本さんは、

「今はブログとかツイッターによってすぐにオープンになる時代。ノイタミナ(『もやしもん』が放送される番組枠)も僕自身もツイッターやってるくせに、この件に触れないのはウソ臭いから触れた」

と「ツイッター」で説明している。ただし、何でも公開すればいい訳ではなく、対処方法をミスすると炎上する怖さを常に覚悟しなければならない、と自戒を込めている。石川さんも同日付のブログで、フジテレビプロデューサーの対応は迅速で、夕方まで問題は全てクリアーになった、と報告している。

   「もやしもん」が掲載されている「イブニング」編集部は今回の問題について、石川さんとフジテレビ両者にボタンの掛け違いはあったが、そもそも出来上がってきたラベルに問題があった、と説明している。今後は逐一、フジテレビは石川さんと相談した上でラベルを完成させていく。ただ、半日という短時間で解決したのには、石川さんがブログに書いたことが大きかったと「イブニング」編集部は考えている。