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配達員の「郵便物窃盗」続出 金券ショップに売り飛ばす?

   封筒の中に金目のものを入れると簡単に盗まれ、金券ショップに売られていく。そんなケースは結構あるらしく、当の郵便局の職員までもが「当たりまえ」のごとく口にする。

   2010年6月30日付け「朝日新聞」の「声」欄に、こんな驚くべき投書が載った。

ポイントカード30万円相当を入れて送ったが…

   45歳の女性は、遠方で暮らす母親に未使用の年賀状を郵送しようと窓口に持っていった。郵便局の職員が、「封筒が薄くて、はがき20枚が入っているのが見えますよね。配達中になくなるんです。金券ショップに売られてしまって。こちらで紙に包んで中身を見えないようにします」といい、「なくなる」ことが当たり前のような言い方だった。さらに、数年前親類からJRの切符を普通郵便で送ったと言われたが、届かなかったと書いている。

   投書に限らず、途中で金品がネコババされる例は結構あるようだ。

   「郵便局に配達物紛失されました! 助けてください!郵便局に配達物を無くされてしまいました」。Q&Aサイト「OK WAVE」に悲鳴のような書き込みがされたのは2007年4月のことだ。

   封筒の中に、家電量販店「ヤマダ電機」のポイントカード30万円相当を入れて送ったが、送り先に、1週間経っても届いていないと言われた。普通郵便で送ったので、補償がなく、「もうこのまま泣き寝入りしかないのでしょうか? お金はらって送ってなくされて謝罪もありません。。どうすればいいのでしょうか?」と嘆いている。

   掲示板サイト「ミクル」に、「宝石の盗難にあいました。多分質屋にでも売りにいかれるかと…ジェムケリーのプラチナダイヤです。お値段はかなりしました…。とてもショックです。郵便物で修理に出した際のこと。このまま返ってこなかったら盗難届を出そうと思いますが、みなさんならどうしますか? こんなのは初めてで、困惑中です」と08年6月に書き込まれている。

   さらに同じ掲示板に、別の人が「前に私の母が、10万円を普通郵便で送金しました。書留の手数料をけちって…そしたら盗難されました。郵便局員に。郵便局に言い、犯人は見つかりました」と書いている。

   こうした例が日常茶飯事なのかどうかは定かでないが、郵便物の紛失は多発している。

   郵便事業会社東海支社は、名古屋中支店の社員が、郵便物を集荷中に書留計201通を紛失したと、2010年6月22日に発表した。この社員は6月18日午後4時15分から、台車にプラスチック製の集荷箱を乗せ、数か所の会社事務所などを巡回していた。5時頃に書留を入れておいた布製袋がなくなっていることに気づいたという。同支社は警察に盗難被害届と遺失物届を提出した。

配達途中の郵便物の紛失件数は09年度477件

   芝支店(東京都港区)では、慶應義塾大学薬学部あての郵便物約90通を誤廃棄する事態が4月26日に発生した。管轄する郵便事業会社東京支社は、郵便物が入った輸送容器のそばに産業廃棄物の一部を誤って置いたため、処理業者が産業廃棄物と混同して、トラックに積載したと説明している。

   配達員による郵便物の窃盗も見つかっている。守山支店(名古屋市)に勤めていた非正規社員の男(38)は現金書留に入っていた現金2万円を着服し、業務上横領容疑で、守山警察署に逮捕された。郵便事業会社東海支社が6月1日に発表した。

   松江支店(島根県松江市)で現金書留などが入った郵送容器がなくなり、松江署は5月13日、同店に勤めていた非正規社員の男(52)を窃盗容疑で逮捕した。郵便事業会社中国支社によると、男は09年12月17日、同支店の集配場所から現金書留など17通が入った郵送容器を盗んだ。計数百万円の現金が入っていた。

   郵便事業株式会社によると、配達途中の郵便物の紛失件数は08年度が580件、09年度が477件で、社員による郵便物の窃盗など犯罪容疑事案の件数は08年度が41件、09年度が39件だった。

   「朝日新聞」の投書欄に掲載されたように、配達員が金目のものが入っている郵便物を盗んで、金券ショップなどに売るという犯罪が、日常的に行われているのだろうか。これについて郵便事業広報担当者は、

「そのようなことがあるとは聞いていません。当社は、社員による犯罪容疑事案の発生を防止するため、社員に対し、新規採用時のほか、週1回程度、犯罪防止について指導をしています。また、配達途中の郵便物の紛失を防止するため、配達を担当する社員に対し、配達用バイクのキャリーボックスのふた閉めを徹底するよう指導しています」

と回答した。