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「オコゼ」に刺されダイバー男性死亡 意外な有毒海洋生物に要注意

   沖縄県名護市の海岸でダイビングインストラクターの男性が死亡した。高級魚として知られる「オニオコゼ」の仲間の「オニダルマオコゼ」に刺された可能性が高いと見られている。ほかにも意外な有毒海洋生物がいるので、海水浴や海でのスポーツなどの際には注意が必要だ。

   ダイビングの講習中に惨事は起こった。ダイビングインストラクターの男性(58)が2010年8月5日、「オコゼに刺された」と叫んで助けを求めた直後、意識を失って倒れ、搬送先の病院で死亡が確認された。男性の左足の裏にはオコゼのものとみられる刺し傷が見つかっている。

ハブの30~80倍の猛毒

海水浴や海でのスポーツの際には気をつけて(写真はイメージ)
海水浴や海でのスポーツの際には気をつけて(写真はイメージ)

   沖縄県衛生環境研究所によると、県内でオコゼ類に刺されて病院を受診したケースは毎年報告されており、2008年は24件(重傷1件)、09年は16件(重傷1件)だった。死亡例としては、1983年には読谷村でオニオコゼ類に刺された男性が意識を失い水死したケースがある。

   名護市の海岸で亡くなったダイビングインストラクターの男性が刺されたのは、高級魚「オニオコゼ」の仲間「オニダルマオコゼ」と見られている。オニダルマオコゼは、奄美大島以南の珊瑚礁や岩礁域に生息している。色や形が石や岩によく似ていて、知らずに踏んでしまい、刺されることがよくある。また、岩場のほかに砂の中にもぐっていたり、浅瀬にもいたりするので注意が必要だ。

   オニダルマオコゼの毒はハブの30~80倍と言われ、背びれのトゲから毒を出す。刺されると激痛が走り、しびれや麻痺、腫れといった症状が出る。重傷例では、呼吸困難、心肺停止、血圧の低下が起こるとされているが、県衛生環境研究所の担当者は、「亡くなるケースはきわめて稀」という。

   では、ダイビングインストラクターの男性が亡くなったのはなぜか。

「行政解剖中で詳しいことはわかりませんが、短時間で心肺停止したことから、過去にオニダルマオコゼに刺されたことがあり、アナフィラキシーショック(アレルギー反応の一種)を起こした可能性が考えられます」

と言っている。

   県内でオコゼ類以外の有毒海洋生物による死亡ケースも起きていて、「ウミヘビ」8件、「ハブクラゲ」3件、巻き貝の一種「アンボイナ」6件だった。

ヒョウモンダコやアサリにもご注意

   死に至る危険がある有毒生物は、身近なところにもいる。福岡・筑前海区で、フグと同じ猛毒を持つタコ「ヒョウモンダコ」が09年11月30日以降、岩礁地帯や浅瀬の岩場で10例確認された。体長は10cm未満と小型で、青いリング模様が特長だ。フグと同じ猛毒「テトロドトキシン」を持ち、かまれると神経系に影響を及ぼして死に至る可能性がある。加熱しても毒が変成しないので、食べることはできない。

   ヒョウモンダコは九州では鹿児島県や宮崎県などの水温の高い海域に生息していると言われる。福岡県水産海洋技術センターの担当者は、筑前海区で見られるようになったのは、冬の最低水温が上昇していることと関係があると見ている。

   潮干狩りで人気のアサリにも、時期によって毒がある。兵庫県水産課は、洲本市で採取したアサリから基準値の6倍を超える「まひ性貝毒」が検出されたと4月30日に発表した。貝毒とは、アサリが有毒プランクトンを食べたことにより体内に蓄積された毒。県水産課によると、有毒プランクトンは例年4~5月に発生する。

   国が定めるアサリの貝毒の基準値は1グラムあたり4MU(マウスユニット)だが、4月に検出されたのは24.6MUで、県水産課は「一度に66個以上を食べると死亡する可能性がある」として、洲本市、南あわじ市、淡路市で潮干狩りを一時、禁止した。ちなみに、08年に基準値の28倍の112MUが検出された。