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就職氷河期でも「秋採用」増える? 学生は一筋の光明となるか

   新卒者の採用状況が冷え込んだままだ。2011年春に卒業する大学4年生の就職内定率は、7月までの時点では前年比で減少している。このまま低迷が続くと、就職率は最終的に過去最悪になる恐れもある。

   ところが、7月以降も採用を継続すると考えている企業が、前年比で増加しているとの調査結果が出た。1年前は「7月で採用活動終了」としていた企業が6割近くを占めていただけに、学生にとっては一筋の光明となるのだろうか。

人材確保は質量ともに不満

   厚生労働省によると、10年3月に卒業した大学生の就職内定率は91.8%となり、過去10年間で最低だった。11年3月卒予定の学生の就職戦線も、現時点では長いトンネルから抜け出せていない。就職情報・人材サービスのディスコは、大学4年生2000人を対象とした7月1日時点での内定率を7月20日に発表したが、前年比0.8%減となる68.7%となった。さらに7月までを加味した内定率も、前年比を下回ったとの報道もある。

   一方でディスコは8月2日、全国の企業1万4083社を対象とした別の調査結果を出した。7月以降の採用活動について、「今年は基本的に終了」と答えた企業が前年比で1割近く減ったという。逆に、その企業にエントリーしている学生に対して採用活動を継続する、あるいは秋採用・通年採用として新たに募集するとの回答が昨年比で1.5倍増。全体でも5割を超える企業が何らかの形で採用を続けていくとしている。

   理由は、前年度比で内定辞退者が多かったことと、企業側が満足できる人材を予定していたほど確保できなかったことにある。7月までの内定率が下がったのはそのためのようだ。ディスコ広報に聞くと、会社内の年齢層のバランスをとるために毎年一定数を採用していることから、7月以降も採用活動を継続する企業が増えているのではないか、という。

リーマンショック後の厳しい採用計画

   内定ゼロの学生にとっては、少なくともチャンスは続く。では、どこまで期待できるか。ディスコ広報によると「採用がダラダラと続いている状態で、採用数が大幅に増えるわけではない」。あくまでも7月までに確保しきれなかった人材の補充という位置づけだ。

   むしろ、条件は厳しくなっていそうだ。前出の広報担当者によると、予算の関係上、企業の採用計画は1年半ほど前に立てられる。10年春卒対象の採用では、採用計画はリーマンショックの前にある程度確定していたと思われる。経済状況もそこまで悪化していなかったが、最終的には就職率は低迷した。『11年春卒の学生の採用計画は『リーマン後』の09年につくられているはずです。不況の影響で企業が『採用を絞ろう』とした時期にあたります」。こうなると、採用枠そのものも条件が厳しくなっていると考えられる。

   ネット上には、「就職氷河期がまた来て就職先が全く無いなんて夢にも思わなかったよ」「もうこの世代を何とかしないと日本終わるな」という悲観的なコメントが並ぶ。企業によっては、自身の成長と生き残りのために海外での事業拡大を視野に入れ、外国人留学生の採用を増やすところも出てきた。就職活動は、まだまだ茨の道が続きそうだ。