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龍馬ブームに陰り 低視聴率にあえぐ大河ドラマ

   龍馬ブームに陰りが見え始めたようだ。福山雅治さん主演のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の視聴率は、2010年8月15日放送が13.7%(ビデオリサーチ調べ)となり、1月にドラマが始まって以降で最低となった。龍馬ブームに少々陰りが出てきたのだろうか。

   2009年の大河ドラマ「天地人」(24.7%)には及ばなかったが、初回に23.2%の視聴率をたたき出し、「篤姫」(08年、20.3%)や「風林火山」(07年、21.0%)を上回る好スタートを切った「龍馬伝」が、このところ低視聴率に苦しんでいる。

「録画で見る人多い」とNHK

ドラマの舞台は長崎に。高知を訪れる人も減る?(高知・桂浜の坂本龍馬像)
ドラマの舞台は長崎に。高知を訪れる人も減る?(高知・桂浜の坂本龍馬像)

   ドラマは龍馬が薩長同盟の成立に奔走し、時代が倒幕に向かっていく、見ごたえある場面に入っていくにもかかわらず、7月以降は10%台とやや「低空飛行」だ。

   「篤姫」の視聴率は年間を通じて20%割れはなかったし、09年の「天地人」も1か月以上続けて20%を割ったことはなかった。

   視聴率の低迷について、NHKは「残念ではありますが、番組そのものへの関心が落ちているとは考えていません。『じっくりと好きな時間に見たいので録画しています』という声が多く、番組のテイストがそのようになっているようです」(広報局)と話している。

   8月15日の視聴率は13.7%。ドラマ開始以降の最低だが、「お盆で在宅率が低いこともあって、毎年この時期は視聴率が下がります」と説明する。

   こうした中で、2010年4月に「龍馬伝」による地元・高知県への経済波及効果を、409億円と試算した日本銀行高知支店は、「地元では龍馬効果は絶大で、視聴率は気になりません。ブレーキがかかっている印象もない」と断言する。

   高知県は、2006年の大河ドラマ「巧名が辻」(主演、上川隆也さん、仲間由紀恵さん、平均視聴率20.93%)でも舞台になったが、「そのときとは比べものにならないほどの経済効果があります」という。

後半は「経済効果」やや減速か

   「龍馬伝」による経済波及効果は、日帰りを含めた観光客数や宿泊客数、小売販売などを、2006年の「巧名が辻」のときを参考に試算した。当初234億円と弾き出していたが、ドラマがスタートして3月までの段階で予想を上回る人が高知県を訪れたため、409億円に上方修正していた。

   日本銀行高知支店では、「NHKでは(09)年末に放映された『坂の上の雲』の愛媛県や、朝の連続ドラマ『ウェルかめ』の徳島県と、四国を舞台とするドラマが続いていました。ドラマの舞台をめぐるツアーが人気だったことなど、相乗効果があったものと思います」と、当初の「勢い」について語る。

   実際に、10年1‐6月期には257億円の経済効果があったという。このままだと500億円をも上回る勢いだったが、「今後は若干の減速を見込んでいて、予測は409億円に据え置いています」(日銀高知支店)とも説明している。「龍馬伝」の舞台が長崎県に移っていることもあって、観光客数の増加ペースも鈍るとみているためだ。

   「龍馬伝」は残り15回。舞台は長崎から、龍馬終焉の地・京都へと移る。京都・伏見に本社を置き、2009年12月から、おみやげ用として「龍馬伝 純米酒」を発売している酒造メーカーの月桂冠は、「京都はこれからが観光シーズンですから」と、ドラマのクライマックスへの盛り上がりを期待している。