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尖閣諸島問題で中国が「ネット攻撃」? 金沢の高校サイトにハッキング

   尖閣諸島沖で、中国漁船が海上保安庁の巡視船と衝突した事件をきっかけに日中関係の緊張化が進むなか、日本の高校のウェブサイトが、中国からと思われる攻撃を受け、不正に改変される「事件」が起きた。勝手にページが加えられ、そこにはハッキングを意味すると見られる「HACK」の表示に中国語の文が添えられていたという。

   騒動を起こした団体は、この高校以外にもターゲットを「予告」。満州事変の発端となった「柳条湖事件」が発生した日が間近に迫っており、予断を許さない状況だ。

「柳条湖事件」の日までに大規模攻撃

突然「HACK」の文字が表示された
突然「HACK」の文字が表示された

   被害を受けたのは金沢大学付属高校。2010年9月13日、サイトの一部が不正に改変されていると、文部科学省から知らせを受けた。

   金沢大に聞いたところ、サイト上に別の新たなページが付け足されており、そこには英語で「HACK」の文字と、中国語でなにやら書かれていた。中国語の文面は解読しなかったが、「HACK」とは「ハッキング」を意味するようだ。14日昼すぎには修復し、全面復旧したと話す。この高校では、中国と過去に何かトラブルがあったことはなく、外部からサイトを改変されたのも初めてで、「なぜウチが」と首をひねる。

   これには伏線があった。中国最大規模のハッカー組織「中国紅客連盟」が、9月18日までに日本のウェブサイトを攻撃することを表明したと、香港の新聞「明報」が伝えていたのだ。「9月18日」は、1931年に旧日本軍が満州事変の口火となる柳条湖事件を起こした日にあたる。

   さらに、9月に入って尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船と衝突し、日本側が中国人船長を逮捕したことに中国は反発、日中関係は緊迫した雰囲気に包まれている。

   ウェブサイト攻撃は、日本政府の主要機関をはじめ首相官邸、海上保安庁、さらには企業や、果ては東京ディズニーランドのサイトまで標的にすると公言しているようだ。

過去にもハッキングやサイバー攻撃

   中国紅客連盟の「犯行予告」は、中国のネットニュースでも広く伝えられている。コメント欄を見ると「がんばれ、応援するぞ」「イマイマしい日本消えちまえ」などという意見が並ぶ。一方、騒ぎの張本人である中国紅客連盟のサイトには、9月17日時点で日本から接続できない状態になっている。

   過去にも、日本のサイトが不正に改ざんされた例はある。2008年12月、靖国神社のサイト画面に突然中国の国旗と、ハッキングを示す語句が表示された。侵入者は不明だが、国外からのアクセスの可能性は否定できない。08年は、いわゆる「毒入りギョーザ事件」が発生し、日中関係に軋みが生じた年だ。またサイト改変ではないが、05年1月に靖国神社が、04年からサイバー攻撃を受けていたことを発表。ほとんどのドメインが中国のものだとした。当時の小泉純一郎首相が靖国神社参拝を続けていたことで、04年中国で行われたサッカーアジアカップでは、日本代表が観客から激しいブーイングや妨害行為にさらされ、05年には中国各地で反日デモが起きている。

   金沢大学付属高校ではその後、再度の改変は起きておらず、中国紅客連盟が予告している大掛かりな攻撃は今のところ報告されていない。だが9月18日は3連休の初日、「警備」が手薄になったところで一気に攻勢をかけるという恐れも、まだ捨てきれない。