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漫画規制めぐって「問題発言」続出 お笑い芸人も参戦しての場外乱闘

   漫画に描かれる性行為の過激な描写を規制するための、東京都青少年健全育成条例の改正案をめぐる過激発言が相次いでいる。同案の取材を依頼したジャーナリストに「夕張で雪かきしてこい」との条件を突きつけた猪瀬直樹東京都副知事が、今度は漫画に関連してネガティブとも取れる投稿をしたのだ。

   一方、規制に反対する側からもビックリ発言が飛び出した。お笑い芸人の有吉弘行さんはツイッターで、改正案成立を推し進める石原慎太郎都知事をからかう言い回しで呟いた。

「マンガ好きなだけでここまで言われるとは」

「マンガの関係が好きな人」の意味とは
「マンガの関係が好きな人」の意味とは

   都青少年健全育成条例改正案では、特に反対派が積極的に意見を表明している。2010年12月6日には、学者や弁護士、漫画家らで構成される「都青少年健全育成条例改正を考える会」がシンポジウムを開催した。共同代表を務める藤本由香里・明治大准教授のツイッターによると、来場者は1500人で、動画サイトでも配信されて高い関心を集めたようだ。

   一方でネット上では、当事者も含めて少々過激とも思える表現で主張をぶつけているものもある。猪瀬副知事は、2010年12月6日付のツイッターで突然、

「マンガの関係が好きな人のなかには人生が行き止まりと感じている人が多いという印象を受けます」

と呟いた。続けて、「生きている女を口説きなさない。瞬間、瞬間、言うことが予想外に変わるから、そのほうがおもしろくて未知で愛おしいよ」と書いている。直後の別の投稿でも「シグナルは女性から先に発している」と呟いていることから、これは男性に向けたメッセージで、女性を口説く勧めを説いたものとも受け取れる。だが、冒頭の「マンガの関係が好きな人」という表現が独特で分かりづらい上、「人生行き止まり」が否定的な意味合いにも映るため、ネット上では、

「マンガ好きなだけでここまで言われるとは」 「エロ漫画好きな改正反対派の奴らってニートばっかだよねwって煽りたいの?」 「典型的なマンガに対する偏見持ちだな」

と非難ごうごう。漫画を読むことと女性を口説くこととは関係ない、と呆れる声も多かった。数日前のツイッターでは、条例案を「表現規制ではない」とし、「自分の書きたいものを書いてみてください」と強調していた猪瀬氏。今回の呟きの真意は不明だが、漫画ファンからは「この人、漫画嫌いなのか」と冷たい視線を向けられる結果となってしまったようだ。

石原都知事に「漫画を悪者にするな」

   条例改正案は、2010年6月の都議会でいったん否決されたが、11月30日に開会した議会で再提出された。規制対象を「刑法や条例に違反する性行為を過度に描いた作品」、例えば児童買春や強姦を不当に賛美・誇張する作品と、否決された原案より明確に定めた。12月3日、都のPTA団体が石原慎太郎都知事を訪れ、改正案の成立を要望。石原知事は「日本は野放図になりすぎている」と話し、成立に強い意欲を見せたという。

   そんななか、場外戦を挑んだ意外な人物が現れた。お笑い芸人の有吉弘行さんは12月6日付のツイッターで、石原都知事と思しき人物に宛てて「漫画を悪者にするの止めてください」と呟いたのだが、年齢的に若者の気持ちが分からない人だと言いたかったのか、都知事を揶揄するひと言を加えていたのだ。表現的にはともかく、発言はウケたようでネット上では「さすが有吉」の声も挙がった。

   ネットではどうやら場外乱闘の様相を呈してきたが、改正案は都議会で可決間近とも言われている。ネットだけでなく、賛成派と反対派の衝突がますます過激化することも考えられる。