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図書館が「ヌードの袋とじ」外し陳列 「市民の知る権利奪う」と議会で追及

   兵庫県の明石市立西部図書館が、雑誌の8ページにわたる女性のヌードの「袋とじ」部分を外して陳列していたことが分かった。その袋とじには「老若男女の妄想を狙い撃ちにする」などと過激な見出しが付いていた。図書館側はこれまでも雑誌の付録は外して陳列してきたが、今回の袋とじも「付録」と勘違いしてしまったと説明。新たに雑誌を購入し、袋とじを切り開いて陳列した。この問題は明石市議会で取り上げられ、市の教育委員会は不適切な行為だったと認め陳謝した。

セックス特集で「老若男女の妄想を狙い撃ち」の袋とじ

   問題になった雑誌は集英社の「小説すばる」10年7月号。小説誌がヌードの袋とじを入れるのは珍しいようで、この号の告知にも「小説誌初の試み!」とし、「老若男女の妄想を狙い撃ちにするヌード袋とじ!!」と書かれている。

   なぜヌードの袋とじが付いたかといえば、この号の特集が「最強!のセックス特集」のため。その他にも女性作家によるセックス小説が満載で、多様化するセックスが簡単に理解できる「21世紀セックス『なぜなに』キーワード図鑑」といったものも掲載されている。

   図書館は子供も多く利用するため、こういったものを陳列するのはどうか、ましてやヌードグラビアなどは見せられない、などといった図書館側の判断だったのか、というと、そうではないらしい。

   明石市立図書館に話を聞いてみると、市内の図書館では雑誌の付録に関しては取り外し本誌のみを陳列している。最近の雑誌の付録にはバッグや傘などが付いていたりして、利用者が付録を無断で持って行くことがあるからだという。

「読むか読まないかは利用者の判断に」

   そして今回のヌード袋とじについては、

「図書館の職員が雑誌の付録だと勘違いし外してしまった」

と説明する。利用者から

「なんでグラビアを外したんだ。見られないじゃないか。知る自由を奪っている」

という苦情が来て調べてみると、付録ではなく雑誌の一部だったことがわかった。

   出版物に関して図書館側が手を加えることは禁止事項のため、やってはいけないことで、せめて「付録が見たい方はこちらへ」といった告知をするべきだった、と振り返っている。

   ただし、このヌードの袋とじの所在は不明になっている。このため、図書館では新たに雑誌を購入し袋とじを切り開いて陳列した。

   この問題は10年12月8日の明石市市議会で取り上げられ「市民の知る権利を奪っている」と議員から質問があり、教育委員会が陳謝した。また、図書館に過激な雑誌がある場合や、PTAなどから苦情が来た時は雑誌や雑誌の一部を陳列から外すことはないのか、との取材に対しては、

「苦情が来た例はなく、陳列を辞めるといったことも起こっていない。あくまで図書館は本や雑誌を陳列するだけで、それを読むか読まないかは利用者の判断になります」

と説明している。