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ブログを一人で1000個開設 でっち上げ記事でアクセス増狙う

   事件とは無関係の不動産会社を「容疑者の実家だ」とする虚偽の内容をブログに書き込んだ男が、自分でブログを1000も開設していたことが分かった。アフィリエイトで収入を得る目的だったらしいが、どうしてこんな事が可能なのか。

   札幌市で2010年8月に起きた殺傷事件に絡み、北海道警が2011年1月13日、信用毀損の疑いで静岡県富士市の市立小学校講師の男(34)を書類送検した。

無関係の会社に中傷電話相次ぐ

   「容疑者の実家だ」と書き込まれた不動産会社には、翌日から問い合わせや中傷の電話が相次ぎ、同社は2010年12月、江別署に告訴していた。

   男は自分のブログに、クリック数などに応じて、換金可能なポイントが得られるアフィリエイト広告を掲載。月に10万円から20万円相当のポイントを副収入として得ていたという。

   動機については「社会的に注目を集めた事件で、ブログへのアクセス数を増やし、ポイントを多く得たかった」などと話しているという。

   この事件はネットでも注目を集め、2ちゃんねるには「アフィ目的に中傷って悪質だな」「月10~20万円って多いな」といった書き込みが寄せられた。また、男はブログを約1000個も開設していたといい、「1000個って一体どういうことなの?」という疑問も相次いだ。

   アフィリエイトサービスを運営する会社の担当者は「実際に更新していたのがどれだけかは分かりませんが、1000個というのは尋常じゃないですね」と語る。

システム組んで一斉更新できた?

   アメーバやヤフー、エキサイトなどでブログを開設するにはIDが別々に必要で、システムを組んで一斉更新することは難しい。きちんと1000のブログを更新していたとすれば、

「名前はブログでも実際は自分で作ったサイトで、ドメイン違っても一斉更新できるような仕組みにしていたのでは」

と担当者は推測する。

   別のアフィリエイトサービス運営会社も「普通多くても5~6個。1000は異常」といい、月10~20万円の収入は個人のアフィリエイト収入としては多いことを認める。

「アフィリエイトで副収入を得ることが一時もてはやされましたが、しっかりやらないと上手くいかないことに気付いて、落ち着いてきているのが今です。収入が0円の人もいますし、それこそ月数百万円も稼いでいるような人は、コスメとかの比較サイトを作ってSEO対策をするなど、相当労力をかけています。殆どの人は真面目にやっているのに、虚偽の情報を書き込んでアクセスを増やそうというのは大変悪質です」

   ITジャーナリストの井上トシユキさんは

「多ければ多いほどいいということで、半分病的になって1000も開設してしまったのでは。アフィリエイトでしっかり稼ごうとすると、ちゃんとした記事を書かなければいけません。でも、なかなか面白いことが思いつかないので、ねつ造してしまったのでしょう。事件になれば仕事も失ってしまうかもしれませんし、威力業務妨害になるともっと事が大きくなります。月10~20万円の収入は小さくはないけれど、1000個もブログを作る労力があるなら、もっと他のことをすべきです」

と話している。