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西武渋谷店「サブカル展」中止 「何が問題なのか」ネットで論議

   東京の「西武百貨店渋谷店」のサブカルチャー展が開催途中で突然中止になった。フィギュアや絵画、イラスト、写真、ファッションなどのアート作品が展示されていたが、来場者から「百貨店らしくない催事だ」とのクレームが入ったからだという。

   この展示会を見た人達の中にはネットで「問題になるような作品は見当たらなかった」と首を傾げる人も多く、また、出品者の中には「悲しくなり、怒りを覚えた」とブログに書いている人もいる。

どの作品が該当するか特定できず

   このアート展は「SHIBU Culture ~デパート de サブカル」で、20数人のサブカル系アーティスト約100作品を展示。2011年1月25日から始まり2月6日まで開催される予定だった。しかし、会期途中の2月2日に突然中止となった。そごう・西武広報によれば、西武渋谷店に訪れた複数の顧客から「百貨店の催事にふさわしくない」という指摘があった。どの作品やどの作者がふさわしくないといった具体的な指摘はなかったという。同社広報は、

「見る方によって感想は様々だと思いますが、私達はあくまでアート作品を選び展示していました」

と強調。どの作品が顧客に不快感を与えたのか、独自に検証して外そうとしてみたものの、はっきりしなかったため、催事自体を中止することにしたのだという。

「私達は老若男女問わず全てのお客様に快適にすごしていただけることを最優先します。一部であっても、それを良しとしない意見があれば、残念ですが今回の催事のように中止せざるを得ません」

と話す。

   このニュースにネットでは、「問題になる作品はなかったはずなのに・・・」という意見が多く出て、中止の原因は何だったのかという議論が掲示板や「ツイッター」で交わされた。出品したアーティストは突然の中止にブログで

「私は、動揺し、悲しくなり、怒りを覚え、パニックに陥り、涙を少し流しました」

などと悲しむ人もいた。また、

「中止の原因は東京都の青少年育成条例関係の規制だそうです」

などとブログで訴える人もいた。

「クレームで祭事を中止するのはリスクの最大限回避」

   この青少年育成条例が原因なのではないかという意見がネット議論になり広まったが、

「都からはそういった通達はなく、全くの風評です」

とそごう・西武広報は全面否定した。

   サブカルチャーに詳しい日本大学文理学部社会学科の仲川秀樹教授によれば、オタク文化を支えているサブカルチャーは、今やサブではなくメインの領域に入っていて、芸術性の高いものも多い。だからこそ百貨店でも展示会が行われるわけだが、サブカルチャーと聞くと、60年代に騒ぎになった反社会的なものだと勘違いする人もいて、そうした人達からのクレームもある。百貨店は貸しホールを使った展示場とは異なる「公的な」場所のため、少しでもクレームが入るとあっさりと中止してしまう。

「クレームに抵抗すればネット等で騒ぎが大きくなると恐れ、リスクを最大限回避しようと展示会を中止してしまうというのが今の流れだ。特に百貨店のような公的な場所で、店の売上げにも関わるとなれば、中止に動くでしょうね」

と仲川教授は話す。