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1か月も「金親子罵倒」放置  北朝鮮ツイッターに異常事態

   北朝鮮の政府機関が運営するウェブサイト「わが民族同士」が何者かにハッキングされてから1か月が経つ。ウェブサイトはすでに復旧し、ハッキングを非難する声明が掲載されているものの、一時期話題になったツイッターのアカウントは、放置されたままだ。それもハッキングされた当時の、金正日・金正恩親子を批判する文言も、そのまま掲載されているという異例の事態だ。

   ツイッターのアカウントは10年8月に開設された。ツイートの内容は、北朝鮮のプロパガンダ動画や、「わが民族同士」ウェブサイトに掲載された記事へのリンクを貼るといった、比較的地味なものだった。

「超豪華な別荘で女たちと乱雑な酒の宴席を行っている」

今でも、ツイッターには金親子を罵倒する文言が放置されている
今でも、ツイッターには金親子を罵倒する文言が放置されている

   2011年1月8日、何者かによって「わが民族同士」ウェブサイトが書き換えられ、金親子を非難する内容が掲載された。だが、ウェブサイトは数日で復旧。1月11日には、ハッキングを受けたことを認める文章を掲載。「許すことのできない挑戦、挑発だ」などと犯行を非難する一方、「違法無法のハッキングとは縁もゆかりもない」とも主張。北朝鮮側が、過去に韓国側にハッキングを行ったとの指摘に反論した。

   だが、一時期ウェブサイトからリンクされていたツイッターのアカウントは、様子が違う。ツイッターも、やはり1月8日にハッキングされており、ウェブサイトと同様、金親子を批判する書き込みがされている。

   内容は、

「我々人民の不倶戴天の敵、金正日逆徒と息子金正恩を追い出して新しい世の中を作ろう」
「老いぼれ金正日と最悪な子豚金正恩を一刀両断にして、我々も南の人民のように米のご飯と肉のスープを食べて幸せに暮らそう」
「核とミサイル開発に14億ドルを浪費した金正日逆徒に銃口を向けよう」
「300万人民が飢え死にし、凍え死んだが、超豪華な別荘で女たちと乱雑な酒の宴席を行っている金正日を処断しよう」

といったきわめて辛らつなものだ。ツイッターは、この書き込み以降更新されておらず、上記の文章は、今でも閲覧できる状態だ。

担当者は厳罰を受けることになる?

   「わが民族同士」をめぐっては、「担当者が北朝鮮に呼び戻された」という情報もある。サイトは、中国の瀋陽で運営されているとされるが、米政府系のラジオ局「自由アジア放送」が2011年2月4日に報じたところによると、北朝鮮本国は、担当者を「サイトを適切に監視することを怠った」「規定に反して、韓国のサイトにアクセスした」などと批判。瀋陽では、「担当者は帰国後、厳罰を受けることになるのでは」との噂も広がっているという。

   ただし、担当者が北朝鮮に呼び戻された後もウェブサイトの更新は続いており、現時点では、2月16日の金正日総書記の誕生日を祝う記事が大量に掲載されている。ツイッターが放置されている原因として、(1)ハッキングを機に、北朝鮮側がツイッターの運営を諦めた(2)ハッキングで乗っ取られた際にパスワードを変更されてしまい、アカウントにログインできずにいる、といった可能性が指摘されている。また、北の内部情勢に大きな変化が起きている証拠、とのうがった見方も出ている。