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元気の素はまず食べること 避難所の献立を支える人々

   「肉団子が食べたい」と宮城県南三陸町の最知大夢ちゃん(5つ)。その大夢ちゃんら被災者120人の食事を支えるのは、地元の民宿の調理長だった金野正則さん(55)。河北新報によると、避難所になっている町の名足保育園で、自衛隊による炊き出し応援を受けて、みんなの健康を気遣いながら献立を考え調理に腕を振るっている。

   南三陸町は町民1万8000人の半数以上、9500人が避難している(3月27日現在)。食材が不足しており、メニューも限られるなか、金野さんは「お年寄りには野菜を食べさせたい。子どもたちには、おすしやハンバーグを作ってやりたいが、しばらくは我慢だ」と話す。

サケの切り身にホタテ汁

   避難者が計2万人を超える石巻市で、163人が寝起きしている市北上子育て支援センターでは、地区の婦人部を中心に輪番で献立を工夫している(河北新報)。

   石巻市は、宮城県第2の都市。北上川の河口を中心に人口密集地帯が大津波に襲われた。2万人を超える住民が避難生活を送っている。

   地区の自治会長の鈴木学さん(66)は「近くにあった集会場は全て津波で流された。センターがなかったら行き場がなかった」と話す。電気も水道も復旧していない。山中から湧き水をパイプで引いており、洗い物も洗濯も存分にできる。がれきの中からプロパンガスのボンベをかき集め、煮炊きに使っている。

   4班に分かれ、輪番で食事を用意する。26日は大室地区の担当だった。朝食はみそおにぎり、サケの切り身にホタテ汁を添えた。冷蔵庫が使えないため食材は早めに使い切る。サケの切り身の残りは夕飯のおにぎりにまぜこんだ。

   旧北上町は石巻市と合併する前、宮城県の「食育の里づくり事業」のモデル地区に選ばれた。調理師の資格を持つ佐藤勝子さん(60)は「『食育の里』の名に恥じないようにメニューを工夫している。食事が何よりの楽しみだから」と胸を張った。

餅つきして雑煮を振る舞う

   岩手県内で最大の人的被害を出した陸前高田市。8割近くの世帯が水没、1万3000人を超す町民が避難しているこの街では26日、被災した人たちに餅が振る舞われた(岩手日日新聞)。

   一関市のシグマ製作所花泉工場(花泉町)、三彩館ふじせい(一関市)、道の駅厳美渓(厳美町)の3団体によるキャラバン隊。以前、バングラデシュでサイクロンによる15万人の被災を経験したシグマ製作所本社(埼玉県川口市)の大庭將史社長の呼びかけで従業員、取引先、同社近隣が衣類や食料、救援物資を集め、ふじせい、道の駅厳美渓が餅料理の計画に賛同して実現したという。

   あんこ、きな粉、雑煮の計300人分を準備。下矢作コミュニティセンターで威勢よく餅つきして住民に提供した。