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弘兼憲史、茂木健一郎、勝間和代… 原発PR協力の文化人へ風当たり強まる

   福島第1原子力発電での事故を受け、原発推進を支持したり、PRに協力したりした文化人や著名人への風当たりが強まっている。経済評論家の勝間和代さんも批判を受け謝罪した。漫画家の弘兼憲史さんや脳科学者の茂木健一郎さんらも週刊誌で取り上げられ、批判された。

   勝間さんは、中部電力の原発推進CMに出演していた。事故発生後、2011年3月末の討論番組「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)でも「放射性物質が実際よりかなり怖いと思われていることに問題があるのではないか」などと発言していた。

「多くの人が感じている将来への不安に対する配慮欠いていた」

   しかし4月15日付けのブログで、自身の発言について、科学的根拠を強調したあまり、多くの人々が感じている将来への不安に対する配慮を欠いていたと謝罪。「軽水炉の新規建設の永久凍結」を提言し、その代わりとして新しい技術を使った原子炉を「安全性を充分に検証した上で導入する」としている。

   「週刊金曜日」は2011年4月15日号で、「原発文化人25人への論告求刑」というタイトルを掲げ、著名人を追及する記事を掲載した。

   東京電力をリーダーとする電気事業連合会(電事連)が、原発のイメージ向上を図るために多数の著名人を起用してきたと説明。その中でも「安全神話の最大のホラ吹き役」とまでいわれているのが、弘兼憲史さんだ。

   東電のサイトでエネルギー問題をテーマにしたウェブ漫画「東田研に聞け」を作成し、電事連の「原子力発電四季報」にも寄稿していた。漫画「専務島耕作」でも主人公が高速増殖炉「もんじゅ」を見学していたという。

雑誌対談の北野武もやり玉に挙がる

   その次に挙げられているのが、茂木健一郎さんと、解剖学者の養老孟司さんだ。2人とも東京電力の「ECO対談」に登場し、茂木さんは、電事連の「原子力発電四季報」に寄稿。養老さんも日本原子力文化振興財団の「原子力文化」の対談に登場していた。

   また、北野武さんも糾弾されている。月刊誌『新潮45』(2010年6月号)で、原子力委員会委員長の近藤駿介東大名誉教授と対談し、

「原子力発電を批判するような人たちは、すぐに『もし地震が起きて原子炉が壊れたらどうなるんだ』とか言うじゃないですか。ということは、逆に原子力発電所としては、地震が起きても大丈夫なように、他の施設以上に気を使っているはず。だから、地震が起きたら、本当はここへ逃げるのが一番安全だったりする(笑)。でも、新しい技術に対しては『危険だ』と叫ぶ、オオカミ少年の方がマスコミ的にはウケがいい」

と話していたというのだ。

   「週刊金曜日」は取り上げた人に「現在でも、原発は必要だと思いますか」というアンケートをしている。弘兼さんは「残念ながら必要」、ただ「段階的に廃止することには賛成」と回答。茂木さんや養老さん、北野さんはアンケートには「無回答」だったという。茂木さんは4月17日、ツイッターに「原子力発電は、さまざまな視点の関わる巨大技術で、廃炉にするにせよ、今後の処理など技術の維持が欠かせない。原子力関連技術自体を罪悪視、タブー視するのは愚かな選択である」と投稿している。