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銀が急騰上場来高値 スマホ需要で注目度アップ

   銀の価格が急騰している。2011年4月20日の東京工業品取引所(TOCOM)の銀先物は、取引の中心である12年2月物が前日比4.6円高の1グラム118.3円と、上場来高値を記録した。

   銀は、連日のように最高値の更新が伝えられる金価格に隠れて目立たない存在だが、11年1月中旬以降、3か月にわたって右肩上がりの上昇を続けている。金に比べて取引価格が安いため割安感があり、貴金属を物色する投機筋の資金が流れ込んでいるとみられる。

金につられて急上昇

4月20日、銀先物は上場来高値を記録した(写真は、東京工業品取引所の銀相場のページ)
4月20日、銀先物は上場来高値を記録した(写真は、東京工業品取引所の銀相場のページ)

   銀の価格上昇について、TOCOMは「最近は金の高値につれて上昇していることはありますが、今年に入ってから工業用メタルとしての重要性が高まり、注目度はかなり上がっています」と話す。

   エレクトロニクス、なかでもスマートフォンに使用されたり、太陽光発電や水の浄化機器に使用されたりと工業用ニーズが高まり、現物を求めるメーカーやその需要を見越した機関投資家などが「買い」に入っている。

   銀の現物価格も連日上昇している。田中貴金属工業によると、4月20日の小売価格は、1グラム125.58円。震災後の3月17日には93.87円と100円を割っていたが、その日以降はほぼ連日、右肩上がりで推移している。

   銀の高騰は世界的な動きで、「ほぼ一本調子で上がってきた」(TOCOM)。そのため、そろそろ警戒感が出てきてもおかしくないが、一方で「実需を伴っているので、大きく下がるようなことは考えられない」(市場関係者)との見方もある。

金は大台の1500ドル超で最高値

   自動車の排気ガスの浄化触媒などに使われるプラチナの価格も高い。2011年4月20日のTOCOMのプラチナ先物は、12年2月物で前日比62円高の1グラムあたり4814円の高水準で取引を終えている。このところプラチナは、銀ほど急激な価格の変化はないが、もともと工業用として、また宝飾用のレアメタルとして注目されている。TOCOMは、「中国やインドの需要が旺盛なことから高い水準にあるようです」とみている。

   田中貴金属工業によると、プラチナの現物価格は震災直後の3月17日の1グラムあたり4628円から、4月11日には5306円まで上昇していた。

   一方、4月19日のニューヨーク市場の金先物取引は5日続伸し、取引の中心である6月物が前日比2.2ドル高の1オンス1495.1ドルで終えたが、一時は1500.5ドルまで上昇。過去最高値を更新するとともに、初めて1500ドルの大台を突破した。

   TOCOMの金先物は4月20日、取引の中心である12年2月物が前日比48円高の4009円を付ける高水準で引けた。

   リビア情勢の悪化や欧州の財政不安の再燃、日本の原発事故、中国など新興国のインフレ懸念に加えて、米格付け会社のスタンダード&プアーズが米国債を格下げしたことで、米国の景気先行きに対する不透明感が高まり、安全資産としての金が買われた。