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「彼以外ならだれでもいい」 菅首相なぜここまで評判悪いのか

    民主党の小沢一郎・元代表系議員らや野党からばかりでなく、評論家やジャーナリストからも菅直人首相の交代を迫る発言が相次いでいる。つい最近までは「権力争い、政局をやっている場合ではない」だったのに、ここにきて転換、あえて「政変」をすすめる人も出てきた。菅首相は、なぜここまで評判が悪いのか。

    ジャーナリストの田原総一朗氏は、「菅首相が聞く耳を持たず、報告をしても怒鳴られるばかり」という政府の災害対策組織幹部の「愚痴」を披露した。朝日新聞の2011年4月23日付朝刊、「私の視点」に書いた。

「組織はバラバラで、すっかり萎縮している」

    この記事によると、菅首相から怒鳴られるばかりなので「組織はバラバラで、すっかり萎縮している」。首相に「これまでの振る舞いは、大組織のリーダーとはいえない」「個人プレーも目に余る」「要は責任をとるのが嫌なのだ」と歯に衣着せぬ批判を展開している。「民主党議員を信用しない。だから信用もされない」とも指摘している。

    田原氏は従来、「政局に日数を費やさないために、首相は菅直人氏でやむを得ないと考えていた」そうだが、考えを変えた。「こうなれば世論のひんしゅくを浴びても、あえて政変を起こし」と提起し、「一致団結して菅氏抜きの連立体制を民主、自民、公明の3党でつくるべきだ」と訴えた。

    「エブリバディ・バット菅」。危機管理の専門家、佐々淳行・元内閣安全保障室長は、「民主党議員のうち、菅氏以外なら首相は誰でもよい」との考えを示し、「(民主)政権内で政権交代を」と呼びかけた。4月24日放送の情報番組「サンデー!スクランブル」(テレビ朝日系)での発言だ。

    佐々氏は番組の中で、菅首相について「決断をしない」「決断力がない」と批判。「悪い報告をすると『オレは聞いてない』、『そんな問題オレのとこへ持ってくるな』」という対応を菅首相がしているとも話した。「(菅首相に)お辞め頂くこと。これが私の主張していることです」。

「菅首相は、裸の王様になってきている」

    政治評論家の浅川博忠氏に話をきくと、官邸などでは、情報を菅首相にあげても怒鳴ったり怒った表情を浮かべたりするだけなので、「報告するのがバカバカしい」という空気が蔓延しているそうだ。菅首相は裸の王様になっている、というのだ。

    首相就任時から「自信過多で、人の意見や情報を聞く耳を持っていない」「危機管理に疎い」と、「与野党を問わず」指摘が出ていた。

    浅川氏は「菅さんを替えた上で自民党などと大連立を組んだ方が良いし、そうした動きが出てくるはずだ」と指摘した。

    統一地方選は、後半戦も「民主の退潮傾向 鮮明」(日本経済新聞、4月25日付朝刊)といった結果に終わる中、菅首相は4月25日、参院決算委員会で、「厳しい」選挙結果は真摯に受け止めるとしつつ、震災復興や原発事故収束に向け「今後も全力を挙げて取り組みたい」と政権維持に意欲を示した。